前回の続きです。先に実例を,後で理論をご紹介。
実例3.実況中継 (6年生修学旅行珍道中)
楽しい楽しい修学旅行も何事もなく,無事終了いたしました…。しかし…,本当にそうでしょうか…!?否!!こんなに楽しい6年生の子ども達が,何もなく2日間を過ごすとは思えません。ふり返ってみると…,ありました,ありました。楽しい思い出話満載ではありませんか!!お待たせいたしました。ここからは,恒例となりました「6年生実況中継」。今回は「修学旅行珍道中」と題してお送りいたします。
「何のツアーに行くの!?…事件」
中国横断道・大佐SAでの話。
バスでのツアーも始まったばかり。ウキウキワクワク,地に足がついていない様子の子ども達…。
「わ~い,トイレだトイレだあ!!」(SAのトイレに行くのにも大興奮!)
うれしそうにトイレから帰ってきてバスに乗り込む子ども達。今回のバスは,鳥取県にもわずかしかないという「ゲゲゲの鬼太郎バス」。誰がどこから見ても目立つバス!!(行く先々で注目の的!!カメラで撮影する見知らぬおじさんも出現!!)
なのに…。
こんなにわかりやすいバスの隣に止まっていた,よその,普通の観光バスに乗り込もうとする1組Mさん。危うくS教諭に引き戻され,無事に鬼太郎バスに乗り込むことができました…。
ちなみに,その間違って乗り込みそうになったバスのフロントガラスには,「まごころツアー川中美幸コンサート09」の大きな文字…。Mさん…,一体あなたは何のツアーに行くつもりだったの…??
「○○のジグソーパズル…事件」
修学旅行前,教室での話。
「先生~,修学旅行の宿の部屋の広さってどれくらいですか?」
「一人畳一畳分くらいはあるよ。」(T教諭)
修学旅行当日,旅館の1組女子部屋での出来事。
部屋でのリラックスタ~イム。早めに布団を敷こうという話になり,布団を敷き始める子ども達。さあ,どうやって敷くか…!?子ども達が導き出した方法とは…!?
部屋に入ったT教諭絶句…!!
なんと,部屋の中には,畳一畳につき布団一枚…,ぴったりと…,敷き詰められていたのでした…。方向バラバラ,とにかく畳一枚に布団一枚。その様は,さながら布団のジグソーパズル…,はたまたテトリス…!?その傍らで,「どうだ!!」と言わんばかり,意気揚々とした1組女子の面々。
しか~し…,いざ寝るときになると,「一人じゃ怖い…」と意気消沈し,一枚の布団につき2~3人…,寄り添って寝る子続出,使用されない布団がた~くさんあったとかなかったとか…。
「一体どこの店が安いだ!?…事件」
夕食後,いよいよお楽しみのお買い物タ~イム。
「先生,ぼく,一番向こうのお店のおばさんと知り合いになりました。」(1組N君)
「えっ?なんで?」(N教諭)
「だって『すごく安くするから,後で買いに来てね♡』って言われましたから。」
(それって知り合いになったって言うのかしら…。それにしても, さすが百戦錬磨のお店のおばちゃん。たった一言でNくんのハートを射抜いてしまうとは…。)
ライトアップされた宮島の鳥居を見てから,いよいよ買い物スタート!!
「なあなあ,安くするんだって。あの店行こうで,行こうで!!」(完全に射抜かれているN君…)
「わ~い,わ~い。」(大興奮の子ども達)
なんだか,大型魚や地引き網が手ぐすね引いて待ち受ける大海原に放たれた稚魚を見ているような気分…。
買い物開始2分後。
「先生,この店安いっすよ~!」(見比べたわけでもないのに,絶叫する1組H君)
「先生,あの店で買ってあげてください!!」(なぜか自分の買ったお店の営業活動を始める2組Oさん)
「安いよ安いよ~!このキーホルダー200円にしとくよ~!」(お店のおじさん)
「えっ?だってこれ200円って書いてあるじゃないですかあ。」(2組Y君)
「昨日まで220円だったんだよぉ。今日から200円だよぉ。」(お店のおじさんの巧みな話術!?)
「うわぁ!!」(既に買う気満々になってしまった2組Y君)
20m先のもみじ饅頭のお店では…。
「お兄ちゃん達,安くしとくよ。1個60円だけど,10個で600円にしとくよぉ~!」(お店のおじさん)
「うわぁぁ!!!」(完全に通常の感覚がマヒしている2組M君達)
一方,別のお店では…。
「え~!?おじちゃん,もっと安くならんだ~!?」
「あっちのお店はもうちょっと安かったでぇ!!」(まるでどこかのおばちゃんのような1組Kさん達)
修学旅行客(特に小学生)に対する商売のプロ,百戦錬磨のお店のおじちゃん,おばちゃん相手に,子ども達は一体どんな買い物をしたのでしょうか…。ふと,現代の世知辛い社会の縮図を見るような思いに包まれ,「注意しよう…」と,財布の紐を閉める担任団だったのでした…。
こうした実況中継を行う時に,次のような点について,留意したり工夫したりしています。
(1)内容(題材)面
○行事の様子が保護者に伝わるような内容を。
○子ども達の微笑ましい言動が保護者に伝わるような内容を。
○たとえ珍プレーだとしても,良い意味で子どもにスポットが当たり,嬉しくなるような内容を。
(注)子どもの名前は当然伏せて伝えています。と言っても、大体子ども達には分かりますが…。
○子ども達の相互理解につながるような内容を。
○教育的な波及効果が期待できる内容を。
○教育的な啓発効果が期待できる内容を。 …etc
(2)文章(体裁)面
○会話文《子ども》と心内語《担任》の多用(再現性の高い実況中継を)
○体言止め・倒置法などの活用(テンポの良い実況中継を)
○比喩・韻・対比・リフレインなどの活用(分かりやすく楽しい実況中継を)
○強調フォント・強調ポイントなどの工夫(視覚的に読みやすい実況中継を(1))
○連の活用(視覚的に読みやすい実況中継を(2))
○文章の終末の工夫(「オチ」か「余韻」を残す実況中継を) …etc
無論,この実践及び理論(理論と呼べるような代物ではございませんが…。)は日々更新中です。今後も新しい試みを模索したり,改良を加えたりしていきたいと思っています。
さて,「視覚的に読みやすく…」なんて言っておきながら,今回はと~っても長く,(おそらくは)読みづらいつれづれ日誌となってしまいました…。あしからず…。

西村 健吾(にしむら けんご)
米子市立福米東小学校 教諭
「豆腐のような通信を!(1.マメで 2.四角く 3.やわらかく 4.面白く)」をモットーに、学級経営に果たす通信の役割を見直し、日夜創意工夫に励んでいます。一つの実践提供になれば…。
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