2011.11.29
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東北物産展その後-被災地から遠い地域からの支援の在り方

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

「つれづれ日誌」では9月中旬に行った「東北物産展」の話題を何度かお伝えしました。今回は、その後のお話です。

 

最初に以前の記事をご紹介します。

岡山からできる支援活動 前編

http://www.manabinoba.com/index.cfm/8,16774,21,131,html

岡山からできる支援活動 後編

http://www.manabinoba.com/index.cfm/8,16810,21,131,html

東北物産展大成功

http://www.manabinoba.com/index.cfm/8,17072,21,131,html

 

東北物産展の目玉商品であった「ブルーベリージャム」。即日完売することができ、若干の収益金を得ることができました。この収益金の使い道をどうするか?クラスで議論をし、次のように決定しました。

 

1.不特定多数ではなく、自分たちと少しでも関係のある所に支援を行う。

2.支援の形は現金ではなく、支援先の方が必要とする物とする。

 

この2つの条件から、支援できるところを探しました。最初に私たちの支援の申し出に応えていただいたのは、福島県から放射能を避け、岡山市に避難されている家族。

 

家族といっても、母親と小さな2人の子供さん。子供の父親は福島で仕事があるため同行できませんでした。全国の避難者受け入れ情報を調べ、岡山市を選ばれたそうです。しかし、岡山市に親戚知人がいるわけでもなく、車に乗せられるだけの荷物を載せて、文字通り知らない土地に「飛び込んで」来られました。このようなことから、ちょっとした日用品、衣服が不足しています。また夫婦別世帯の避難生活ですから、生活費も余計にかかっているようです。

 

このことを知った私たちは、その避難家族、特に小さな子供さんのための衣服と、知らない土地で友達とも離れてしまった寂しさの慰めとなるおもちゃを贈ることにしました。

 

その家族が避難先としている仮住まいの公営住宅は学校から車で20分ほどのところ。買ったものを直接届けることができました。

 

次に支援したのが、宮城県気仙沼市と岩手県陸前高田市の仮設住宅。物産展の準備過程で、おつきあいが生まれた地域です。

 

11月に入り、東北地方は厳しい寒さを迎える時期に入りました。仮設住宅の中では暖房器具が圧倒的に不足しているという情報を聞いた私たちは、こたつやホットカーペットなどを購入して贈ることにしました。

 

福島の避難家族へ子供服とおもちゃ、気仙沼や陸前高田の仮設住宅へ暖房器具、どちらの支援も数としては微々たるものです。しかし、この支援を通じてひとつのことを学ぶことできました。

 

「お互いの顔が見える支援は、物を贈った後もずっと繋がっていられる」ということです。子供服とおもちゃの支援を通じ、マスコミでは報道されない福島県の放射能被害の実態を直接知ることができ、生徒たちは多少なりともショックを受けました。また暖房器具の支援では、支援先の方から涙ながらに感謝の気持ちを伝えられ、自分たちの行動は小さいながらも役に立ったと実感することができました。これらの体験は「次は何をすればよいのか?」という活動の精神的な原動力となります。

 

「募金箱にお金を入れたらおしまい」このことに疑問を持ったことから始まった一連の支援活動。私たちの住む岡山から被災地へは遠く、高校生にとっては簡単にボランティアを派遣することができません。そこで知恵を絞ったのが、1.東北の被害の実態を知り、2.本当に必要な支援を行うための資金を集め、3.支援行動を通じて更に新たな繋がりを生み、4.それによって継続性を持った活動を可能にする。というモデル。試行錯誤することも多かったですが、私自身も多くのことを学びながら、「被災地から遠い地域からの支援の在り方」の道筋が見えたような気がします。

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

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