2011.07.26
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岡山からできる支援活動 前編

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

3月に起きた東日本大震災。5カ月が経とうとしていますが、生活に不自由されている方があまりにも多いです。そのような方に1日でも早い日常生活を取り戻してもらいたいと、日本各地で色々な形での支援活動が行われています。ところが、私の住む岡山ではこのような支援活動がいまひとつ盛り上がっていません。募金も当初は活発に行われていましたが、現在では「募金箱の置かれた日常」に慣れてしまったのか、箱がそこに置かれているだけ、といった雰囲気です。

 

担任しているクラス2年D組で、一人の生徒がこう言いました。

「募金っていつまですればいいんですか?私たちのお金、誰に、どう届いてるんですか?」

 

私はとっさに返答できませんでした。

 

自分自身にも言えることなのですが、募金を継続的に続けるのは意外と難しいのです。特に中国地方の岡山では、電力の問題も含めて地震の生活への影響がほとんどなく、当事者意識を持つ人がそれほど多くありません。目の前で普通に生活でき、困っている人が隣にいない状況では関心も薄くなってしまいます。私はこの状況が非常に心苦しく感じるのです。

 

このことがきっかけで、被災地から遠い岡山の高校生が、何かできる支援はないか?ということをクラスで考えることになりました。そこで出てきたのが「経済支援」という言葉。被災地のものを自分たちの生活の中で消費して、東北地方の経済を動かすことによって支援しよう、という考えです。経済力の無い高校生ですから、彼女たちの行動が直接影響を与えることはほとんどありません。しかし、この気持ちが大切であると思いました。

 

色々と話し合っているうちに、学校を飛び出して、地元のデパートといっしょに「東北物産展」を企画できないか、ということになりました。生徒たちが校長に提出した企画書を紹介します。

 

企画:東北物産展

3月11日に未曾有の被害をもたらした東日本大震災。
被災者の方の経済的、精神的苦しみは測り知れません。
1学期の始業式で校長先生が、恵まれた環境にいる西日本の私たちが、
たとえば節電など、できることを行っていこうと言われました。
その言葉を聞いて私たちはクラスで何ができるかを考えました。
この企画は下記のような経緯で出てきました。

1.お小遣いの少ない自分たちが出せる募金には限界がある

2.新たな募金活動をしようにも、既に他の人がたくさん活動されている

3.募金以外で自分たちにしかできない何かはないか?

4.(仮説)本当の復興は東北地方の経済が自立することなのではないか?

5.被災地から遠い岡山でも東北地方の経済的自立の力になれるアクションが起こせないか?

デパートで行われる東北物産展を2年D組とデパートで協同企画すると同時に東北の人の生の声を集め、それらを文化祭で展示する。

 

日々、生徒たちには「一流の経験」をさせたいと思っている私としては、この企画をぜひ成功させてやりたいと思い、関係各所への調整に走りました。しかしすんなりと事は運びません。

 

普通科である本校の中でも1クラスの企画であり、時間の関係で、本格的な「疑似企業活動」のようなことができません。そこで、物産展は、2年D組の生徒が、東北の高校生に「地元の名産」をリサーチし、デパートに提案。デパートのバイヤーが仕入れて販売するという形になりました。

 

ある日のバイヤーさんの一言

「君たち、実際に東北に行って、この目でオススメの商品探してきたら?」

 

この言葉に動かされた2年D組。さて、その後動きは次回にお話しします。

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

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