6年生は国語で、名言について学習しました。
社会科で、歴史上の人物が言ったとされる言葉に興味をもち、新聞などにまとめた経験があったものの、名言に触れる機会が少ない子どもたちにとって、最初のうちは関心が薄いように感じました。というのは、学習の導入として、本などから知り得た名言を掲示板に張り出してやろうと準備をしたのに、思うように名言を集められなかったのです。
それで、名言集を買って教室に置いてやったり、インターネットを使って調べ学習をさせたりという支援が必要になりました。
また、授業の中で、私が気に入っている名言を紹介しました。保護者の方が、本の読み聞かせに来てくださった時にも、子どもたちのために名言を紹介してくださいました。そういった気遣いに、心から感謝しています。
さて、名言に親しんできたころ、友達に名言をプレゼントしてはどうかという提案をしました。子どもたちは、あと4ヶ月で卒業です。本校からは、ふたつの中学校に進学するため、友達と離ればなれになってしまいます。それで、同じクラスで学んだ思い出に、一生心に残る名言をプレゼントするように話したのです。その話がきっかけで、名言に対する関心が高まってきました。
そこで、子どもたちが友達にとって相応しい名言を選び出せるように、学習の流れを考えました。
(1) 名言を贈る友達を決める。
(2) その友達の良さを書き出す。
(3) 友達の良さの中で、さらに伸ばしていってほしい点を考える。
(4) 友達に相応しい名言を選び出し、カードに書いてプレゼントする。
プレゼントする時には、発表会を開きました。その発表会で、クラスの友達にも名言を伝え、心を込めてプレゼントしました。
ところで、発表会を開くにあたって、子どもたちにはある願いがありました。テレビでおなじみの、「徹子の部屋」のような雰囲気でやりたいというものでした。それで、一度だけ私が黒柳徹子さんになりきり、司会をつとめながら発表を促すような会を開きました。なぜ一度だけかというと、その後は子どもたちが司会の役も担ってくれたからです。
ところが、数人の発表者を残したある日、私が風邪で寝込んでしまいました。週明けに快復して学校に行くと、子どもたちがそわそわしています。そうしたら、びっくり!徹子さんの髪型を真似た、紙製のカツラが作ってありました。それで、最後の発表の日は、そのカツラを被った子どもが、司会をしてくれました。
この学習の感想を、子どもたちに書いてもらったので、紹介します。
「友達に名言を贈ったとき、自分の気持ちを伝えるっていいなあと思いました。ふだん、自分の気持ちを伝える機会はあまりないので、こういう学習ができてうれしかったです」
「私は、友達と名言の交換をして、友達との仲がもっと深まったと思いました。友達が普段から私のことをしっかり理解してくれていることを知って、とてもうれしかったです」
「私は、『生きることは呼吸することではなく、行動することだ』という名言をプレゼントされました。中学校に行っても、いろいろなことに真剣に取り組んでいこうと思いました」
「徹子の部屋のような形で発表するとは思わなかったので、いい経験になりました。また、このような発表をしたいです」
最後に笑い話。
ある男子が友達に贈った名言です。
「叱ってくれる人を持つことは大きな幸福である」
これは、松下幸之助さんのものです。
贈った理由は、友達が私にいつも叱られているからだとか・・・
荒畑 美貴子(あらはた みきこ)
特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com
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