発想力と実現力
10月5日 元アップル社のCEO(最高経営責任者)のスティーブ・ジョブズ氏がなくなりました。氏の功績は図り知れません。現在ジョブズ氏に関する書籍が続々と刊行されており、大変な売れ行きです。何冊か読みましたが、私がつくづく感心させられるのはそのずば抜けた発想力と実現力だと思います。
「ジョブズが新製品のプレゼンテーションをするたびに、世界が少しだけ新しくなる。そんなワクワク感を、私たちはずっと楽しんできた。」「ジョブズは、パソコンという人類が知らなかった新しいツールを世に出し、歴史を変えてくれた。まさに『独創の神』だった。」(「スティーブ・ジョブズ 神の遺言」桑原晃弥著 経済界新書より引用)
今つくづく感じるのは、私自身、小学校の情報教育担当としてジョブズ氏の恩恵を受けてきていたのだなあということ。そしてすべてはジョブズ氏の大きな発想の中にあったということ。
これまで校内ネットワーク・電子データの整理・保存、児童へのコンピュータの利用などどのようにしたら効率よく、抜けや重なりがなく、楽しく、手軽に使えるようになるかなどの視点で工夫をしてきました。それはそれで有意義であり楽しいことでありました。しかしそれは「工夫」でしかありません。自分で「これは新しい工夫だ。」と自画自賛してもそれはすでに誰かが実現させていたということばかりでした。
しかしジョブズ氏の発想はスケールが違います。氏の発想は全く新しいコンセプトであり、実現できるかできないかということは二の次であるということです。
子どもの発想を大切にしたい
そう考えていくと、ジョブズ氏と似ている人たちが地球上にはたくさんいると気が付きました。それは子どもたちです。子どもたちの突拍子もない発想。それこそジョブズ氏の発想との共通点だ思います。
われわれ教師は、教室環境や日々の授業の中でどれだけ自由な発想の空間を保障しているでしょうか。そしてその発想を実現させるステージを用意するゆとりが教育現場にあるでしょうか。
物事を楽しく、何物にもとらわれずに発想し、力を合わせて夢を実現させていく。そのことは我々教師の大切な役割なのではないかと、感じています。
ジョブズ氏の冥福をお祈りします。

鷺嶋 優一(さぎしま ゆういち)
栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭
この春、勤務校が変わりました。異動したての新鮮な気持ちをダイレクトにつづりたいと思います。そして「ICTと幸せ」についても小学校教育の視点から考えます。
同じテーマの執筆者
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)
「教育エッセイ」の最新記事
