同窓会は午後1時スタートであったが、私は幹事のため12時過ぎに到着。函館空港から朝いちの飛行機に乗り、同じく同窓会受付を担当することとなった高校1年生の娘と二人で上京である。
その後茨城のS先生一家、そして主任幹事の横浜のI先生と集う。もう、その時からみな久しぶりなので同窓会が始まってしまったようなものである。
が、懐かしい話もそこそこに、さらに日本全国からやってくる元同僚の先生方といっしょに会場準備を始めた。
午後1時を待たずに、借り切っていた2階のメインホールが人の海。さらに、1階玄関ホールにもそこで話を咲かせてしまった参加者が盛り上がりを見せている。開会を知らせるため大声で2階会場へ行くよう促して、ようやく開会となった。
開会の辞は私と同年に採用され、同年に帰国した長野のM校長先生。生徒たちからよくモノマネされていた懐かしい信州なまりのM校長のあいさつに、胸が熱くなる。
開会の乾杯を終え、懇談に入るがあちらこちらでいくつもいくつも人の輪ができている。帰国以来3年ぶりとなる子どもたちは、やはりみな3年の成長(それは陳腐な言い方だが「目を瞠るような」)を見せていた。ほぼ同学年の子ども達同士で集まり、その集団で懐かしい先生方のところへ行って話を弾ませる。
私も都合3年、毎年3年生の担任をしていたので、一番大きな子は中学3年生なっている。帰国時に担任した最後の子ども達でも中学1年生である。また、中学部の体育も担当していた年度もあるので、その子どもいや生徒たちも懐かしくやってくる。当時中学部の子はほとんどが大学生である。
「先生、Yくんはどうしてますか?」
「先生、Kくんはこないのですか?」
と、彼らの同級生でもあった私の愚息達の近況も尋ねにやってくる。私の4人の子ども達もみなお世話になった仲間たちである。
女の子たちは、
「先生、いっしょに写真撮って下さい」
と、やってきて(司会進行の役の私を気遣いながら)デジカメやケイタイで写真をとる。あまりに写真のお願いをされるので、「韓国アイドル」になったような気分である。お世話になった保護者の方々とも集合写真である。
ところが、、、。中学生になった男子たちは、やはり年頃なのだろうか。母親たちに
「先生とみんなで写真をとるから集まって!」
と言われても、なかなか動かず渋々である。思春期まっただ中なのだろう。あれほど、
「先生! 先生!」
とわいわいやっていた男子達は、話しかけてようやく訥々と答える程度である。
会の中盤で、「デリー最新事情」を紹介してくださったのは、保護者のHさんである。この会の1ヶ月前ほどにデリーへ旅行?(出張?)した様子を写真つきで知らせてくれた。インドはこの10年間で大きく変貌を遂げているが、その発展ぶりはとどまるところを知らない。みな、感嘆の声を上げながら聞き入っていた。
余興も特になく、ほぼ自由懇談の同窓会であったが2時間があっという間であった。
終わりは恒例の「ニューデリー日本人学校校歌斉唱」、みないつも中庭で歌っていた懐かしい校歌を忘れてはいなかった。
教員団がステージに上がっての斉唱となり、会はクライマックスを迎えて終わった。か、に見えたが、その後の閉会のあいさつがあっても、一向に散会が進まない。会場から立ち去る人がほとんどいない。20分以上たち、ホテルマンたちの視線が痛くなる。私も幹事としてアナウンスせざるを得なかった。
ようやく会場から人がいなくなったのは、それからまだしばらくである。そして次回の引継ぎを終え、玄関ホールへ降りると、、、。またもや話のつきない同窓生とその家族たち。
集まったみんなの笑顔や笑い声に、幹事としての喜びを心から感じた。といっても、ほとんどが、前述のI先生、S先生のご尽力であり、北海道の幹事はお役に立てなくて残念。
日本人学校はその形態から言っても、抱える問題のない学校は皆無であろう。それでも、日本を離れて生活をともにしたかけがえのない仲間を得る場としては、こんなに素敵な学校はなかったと思う。
ニューデリー日本人村、というコミュニティとともにあった日本人学校。インドは遠いが、またいつの日か家族や同僚たちと訪れてみたい。(再会する度に「いつかいっしょに行こう」と約束を繰り返している)

久慈 学(くじ まなぶ)
厚沢部町立厚沢部小学校 教頭
北海道で小学校教員、今年は教頭職三年目。ニューデリー日本人学校での経験を生かし、片田舎から世界を、世界から片田舎を見つめつつ発信したいと思います。
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