執筆内容の骨子
社会情勢は刻々と変化しています。我々教育現場においては,様々な価値観を持つ子どもや保護者を目の前に,「教師の言葉が通りにくくなった」とも言われます。
そんな時代だからこそ,学級経営に学級通信が果たす役割を見直したいと思いました。従来の「事務連絡型」「教室日記型」の通信の枠を超え,学校と家庭,担任と子ども,子どもと親,家庭同士,そして子ども同士(場合によっては教師同士も)の心がつながっていけるようにと願って実践を積み重ねてきているところです。
今回,「学びの場.com」より,貴重な情報発信の場をいただいたことを機に,拙い実践の一部や愚見を,少しずつ紹介させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
1.通信のタイトル
初回である今回は「通信のタイトル」について。10月からの執筆のため,かなり機を逸してはおりますが…。
通信のタイトルと言えば,いつも頭を悩ませます。通信のタイトルだけで「こんなクラスにしたい」「子ども達にこんな力を」といった担任の思いや指導方針をくみ取ってもらえる。しかも,ありきたりではない独創性のある通信タイトル。そんなタイトルはないものかといつも悩んでいます。「これはいける!」と思えるものはそれほど多くないのですが,よく使うのが「?造語(当て字)を用いたタイトル」です。低学年の場合,それを子ども達がそのままインプットしてしまいそうになるので躊躇しますが,中・高学年の場合,子ども達や保護者に前もってきちんと説明すれば大丈夫かと思います。
さて,タイトルが造語であるかないかにかかわらず,最も重視するのが,第1号における,通信タイトルに込めた担任の思いや願いの解説。1年間の学級経営をスタートさせるにあたって,欠かすことのできない記事です。ここでも,「通信のタイトルなど,意に介さない(傾向にある)子ども達」や「ありきたりの説明に慣れた(飽きた!?)保護者」の心を引き寄せなければなりません。実践できているかどうかは不明ですが,以下,その一例をご紹介。
実例1.通信のタイトルの解説
学年通信「大夢(TIME)」
今年度,学年通信「大夢(TIME)」を不定期に発行していきます。
『質の高い時間とは,短時間でも集中して過ごすことが出来る時間,良い刺激を与えてくれる人と一緒に過ごす時間,自分の能力以上の物事にチャレンジしている時間などである。』
全国人脈創りフォーラム代表の小石雄一氏の言葉です。
また,宗教家であり,教育家である池田大作氏は次のように述べています。
『夢を育てるものは,努力です。努力すればするほど,夢は大きくなっていく。「夢」という生き物は,「努力」という食べ物を食べて大きくなるのです。「夢」という宮殿は,「努力」という地道な石を積み重ねて,出来上がっていくのです。』
たゆまぬ努力によって,この1年間をより質の高い「時間」へ。そして,未来への「夢」をしっかりと育んでほしい…そんな思いを込めての命名です。
『一人で見る夢は,ただの夢でしかない。皆と見る夢は現実となる。』(ジョン・レノン)
「夢を持とう」「友だちを大切にしよう」「切磋琢磨しよう」「困難から逃げず,挑戦しよう」「努力しよう」…,これらのことの延長に「大きな夢(大夢)の実現」が待っている。そして,『(大きな夢への過程である)この1年間という「時間(TIME)」を大切に過ごそう』。そんな担任の思いを,著名人の「名言・至言」(→後の号で特集予定)を活用して伝えたつもりです。
あとは,このタイトルが,画餅に帰すことのないよう,教師自身も邁進あるのみです。

西村 健吾(にしむら けんご)
米子市立福米東小学校 教諭
「豆腐のような通信を!(1.マメで 2.四角く 3.やわらかく 4.面白く)」をモットーに、学級経営に果たす通信の役割を見直し、日夜創意工夫に励んでいます。一つの実践提供になれば…。
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