日本の祝日は、『国民の祝日に関する法律』第1条に、「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを『国民の祝日』と名づける、と定められています。その第2条には、その理由が記されています。
9月には、2日の祝日がありますが、19日の「敬老の日」を前に、次のような授業を行いました。(Tは教師の発言・発問、Cは児童の発言)
T「19日は、何でお休みになるでしょうか。」
C「『敬老の日』だからです。」
T「その通りです。では、『敬老の日』とは、どんな意味があるのか、国語辞典で調べて、読んだ後で、道徳ノートに書きましょう。」
T「では、ノートに書いた『敬老の日』の意味をみんなで読んでみましょう。」
C「『お年寄りを敬い、大切にする日』です。」
T「ありがとうございました。今、読んだ中に、わからない言葉がありましたね。それは、何でしょうか。」
C「『敬う』です。」
T「そうですね、『お年寄りを大切にする日』だけなら分かりますが、『敬う』が付いていますね。」
C「キーワードになると思います。」
T「そうかもしれませんね。では、これも国語辞典で意味を調べて、ノートに書きましょう。」
T「では、ノートに書いた『敬う』の意味を読んでみましょう。」
C「『相手を立派だと思い、大切にしようとする。』です。」
T「ありがとうございました。では、なぜ、『お年寄りは立派』なのでしょうか。自分の考えをノートに書いてください。」
子どもたちがノートに書いて、発表してくれた考えは、次のようでした(板書する)。
・長生きしているから
・見守っているから
・年上だから
・勉強していて物事がわかるから
・もっと長生きしてほしいから
・頭もいいから
・知らないことを知っているから
・家族でえらいから
・年をとっても私たちのために仕事などをしているから
・家の中で早く生まれたから
・今までいろいろなことをやってがんばってきたから
T「なるほど、それぞれによく考えてくれましたね。では、みんなが考えてくれた意見を読んで、どの意見が、お年寄りが立派である理由としてふさわしいかをもう一度考えて、一番いいと思う意見を選んでください。」
その結果、次の二つの意見が圧倒的に支持されました。
◎年をとっても私たちのために仕事などをしているから
◎今までいろいろなことをやってがんばってきたから
この二つの意見を、子どもたちにわかりやすいように次のようにまとめました。
『お年寄りは、長い間、いろいろなことでがんばってきた→だから、うやまわれる。』
最後に、行動目標をそれぞれ書いてもらい、授業は終わりました(写真)。
その後、敬老の日に向けて、おじいさん・おばあさんに、思いを込めたメッセージカードを書いて作って(写真)もらい、19日に渡すことにしました。
「○○の日」と聞けば、何となく意味がわかったような気になっていることが多いと思います。物事の本質を改めて確認することから始め、みんなで考え、知識と認識を共有することで、自分の生き方を変えていくような授業を創っています。
しかし、一回授業したからと言って、すべてが分かり、できるようになるわけではありません。学年や発達段階に合わせて、毎年、授業や学活などで取り上げ、スパイラルな過程を構築することで、子どもと子どもたちは育っていくものと考えています。
大谷 雅昭(おおたに まさあき)
群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。
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