2011.09.16
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運動会を前に意義と目的を

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 秋の運動会開催の2週間前に、「運動会は何のために」という道徳の授業を行いました。この授業(道徳)のねらいは、「自分の特徴に気づき、自分でやろうと決めたことを粘り強くやり遂げ、よい所を伸ばす」です。
 道徳の授業が、学校行事や生活に活かされるとともに、学校行事が道徳的実践の場になるようにと考えて構想しました。

 具体的な授業の展開は、以下のようです。(『 』は教師、「 」は子どもの発言)

『みなさんが運動会でやることは何ですか。ノートに書いてください。』
 (書き終わったところで、全員に発表してもらう)
「90m走です。」
「ダンスです。」
「リレーです。」
「宮小タイフーンです。」
「ラジオ体操です。」
『それだけでしょうか。3年生のみなさんがやることは、ほかに開会式、閉会式、一ノ宮小唄(地域の盆踊り)があります。今年から午後の閉会式まで参加するようになります。』
(足りなかったものは、ノートに書く。)

『では、そうした競技やダンスなどは、何のためにやるのでしょうか。ノートに自分の考えを書いてください。』
 (書き終わったところで、全員に発表してもらう)
「自分の力を出すためです。」
「チームワークをよくするためです。」
「楽しくするためです。」
「自分の力を成長させるためです。」
「がんばりを見てもらうためです。」
「いいところを見せるためです。」
「力を合わせてがんばるためです。」
「力をつけるためです。」
「かっこよく見せるためです。」
「できるようになるためです。」
「感動させるためです。」
「よろこんでもらうためです。」
「心を一つにするためです。」
「自分のためにやる。」
「新しい自分に生まれ変わるためです。」
『さすが、3年1組のみなさんですね。しっかりと自分の考えを持ち、発表することができましたね。よく考えています。どの考えも合っています。』
 (改めて、みんなが出した答えを確認する)
『何のために運動会をやるのかという問いに対して、最もよい答えを教えましょう。それは、《体と心を成長させて、自分のいいところを見せるため》なのです。つまり、自分のためになるのが、運動会なのです。』

『では、今日、学んだことやめあてをノートに書いてください。』
(書き終わったところで、全員発表をしてもらう。)

A子さん
「運動会の練習でつかれても、かっこよくしようと思います。運動会で家族、いろんな人にいいところを見せられるようにいっぱい練習して、他にもおそうじやじゅぎょうでもがんばろうと思います。今日、運動会の事を学んだので、他にも国語や算数なども学ぼうと思います。」
B子さん
「運動会は、体だけではなく、心も成長するとは知りませんでした。なので、これからは、ダンスは一つ一つを大切にして、私はせが小さいけど、部分部分を大きくおどります。ときょう走では、ビリでも一番でもなんでもかんでもぜったいさい後まで、力を出しきります。今年で、運動会は3回目なので、3年生は3年生らしく成長していきたいです。6年生が「優しょうしてそつぎょうしたいです。」と言ったので、力をさい後まで出して、優しょうして、6年生もいい思い出にして、そつぎょうさせたいです。自分も、笑顔でおわる3年生の運動会の思い出をつくりたいです。他のじゅぎょうなどでも、考える力などものばし、笑顔でおわる一日にして、一日一日の時間で、少しずつでも成長していきます。」

(全員が発表した後、)
『ただ、優勝したいですとか、徒競走で1位になりたいです、というだけの運動会では意味がありません。みなさんが発表してくれたように、運動会をすることで、何を成長させたいのか、どういう自分になりたいのか、というはっきりさせておくことが、大事なのです。優勝してもしなくても、1位になってもなれなくても、みんなの言葉を借りれば、〈新しい自分に生まれ変われる〉のです。それが、運動会をする意味なのです。』

 運動会のスローガンやめあてを、つくっただけ、書いただけに終わらせないようにするためには、シープドック・モチベーション(意欲を継続させる手だて)が必要です。そのために、子ども自身の成長とどのような関わりがあるのかを明確にさせて、活用の仕方を教えれば、子どもは自ら成長するように動き始めるのです。運動会後が、今から楽しみです。その前に、運動会での子どもたちの成長も楽しみですが・・。

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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