2011.09.13
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5年越しのコンプライアンス

神戸市立兵庫商業高等学校 教諭 特別支援Co 田杼 弘行

8月末から9月にかけて台風12号の被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。自然の猛威に驚愕するばかりでした。

しかし、今回初めて、自分の居住区域を誤認識していることに気がつきました。私は明石在住です。明石は淡路島の北側に位置していますので、南部地域だと認識しています。実際、兵庫県南部の天気予報を中心に見ています。ですが、近畿地方の南部は和歌山県南部の白浜、串本、三重の一部地域ということに気づきました。近畿地方で表現される場合は、中部に位置し、兵庫県では南部に位置するということです。何度も繰り返される報道に、自分の認識との違いに気がつきました。でも今ごろ気がつくのですから・・・傾向はあるかもしれませんね。

K市では、学校教育法改正から5年後の今年、4月に市立高校に初めて特別支援教育Coの任命を要請し、8月末に初めてのCo(コーディネーター)協議会を開催しました。約3時間弱の会議でしたが、有効な時間を過ごせました。これまでに、何度も、校長会や団体を通じて、COの配置や校内委員会等の準備を求めてきました。回答はいつも、年度途中で担当者が決まっていないので、次年度に向けて検討するといったものでした。コンプライアンスに違反するのではないかという問いかけに、ある校長は「あれは努力義務で法的な拘束はない」との見識をしめした方がおられました。ここ4年間の出来事です。教育行政や組織のトップがこの程度の認識でしたら、文科省も大変だなぁとつくづく思いました。驚いたことに、数年前の文科省の調査結果をみると、Coの任命と校内委員会設置は、H県かK市かは忘れましたが、100%となっていました。この数字大丈夫かなぁって思ってしまいます。まぁ同じウナギでも、産地の表示があちこちと変化するくらいですから、示された数値が、今後の努力目標値や期待値を報告したものと解釈すると妙に納得できてきます。

 

 初めての協議会の議題は、業務内容、Co研修、取り組み事例の3点でした。特に印象に残っているのが、個別の指導計画や教育支援計画の作成や策定(作成・策定、この2つの使い分けもされていませんでしたが。)についてで、初めてのCoにここまで求めるのは、難しいのではないかという感想を持ちました。高校現場では、対象生徒を軸にした業務と全校生徒を対象とした業務、教員・保護者を軸にした業務等、それぞれに課題を抱えています。初めての協議会で高校版のCO研修を実施する前に、事前に高校に足を運んで、ヒアリングやCOとしての困り感をリサーチする、いわゆるアセスメント、実態把握をしっかりしてから、実態に見合った研修をしていただきかったと思いました。

とはいえ、5年ぶりのコンプライアンス順守ですから、それなりの意義はあったのだと思います。

 こと高校と特別支援教育については、ゆっくりでも去年よりは進歩しているとよく言われます。でも渦中の生徒や親の思いは、進歩している、去年よりはまし、という言葉で納得するでしょうか?

私は幼稚園・小学校・中学校・高校と、どのライフステージでも、重要な位置づけ、意味合いがあると思っています。しかし、社会との接続を考えたとき、高校の組織のほうが大学よりもかかわる密度は高いことは明白ですし、だからこそ、高校での特別支援教育が充実、発展する必要があり、もっと積極的に推進していくべきだと思っています。

引きこもりやニートをつくらないためにも。 

田杼 弘行(たどち ひろゆき)

神戸市立兵庫商業高等学校 教諭 特別支援Co
すべての学校に特別支援教育をという文科省通達から5年目。しかし高校現場でのギャップ。一教師として、できることを探りながら、様々な「話題提供を」と、思っています。

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