8月のお盆過ぎから、1週間ほど涼しい日が続き、このまま秋へと突入かと思いきや、じめじめした天気がまた続くようです。テレビの気象予報士の方も言われていましたが、まだ8月ですからって。まぁしょうがないかな。
2年前の新型インフルエンザの時は、授業時間確保ということで、5月に臨時休校した1週間分を8月末に解消するということで、夏休みを1週間繰り上げて授業開始を早めた経緯がありました。当時はフェーズ5という言葉が世間をにぎわし、学校は生徒は登校禁止、教員は限られた方法で、生徒の健康チェックと忙しく、学校再開で生徒の声が聞こえたときは、普段通りに授業ができることに感謝したものでした。
教員は夏休みがあっていいよねぇって言われることがよくあります。夏休みで確かに生徒が登校していないときの学校は、さびしいものがあります。でも教員は、この時を待ってじっくり腰を据えて会議をしたり、部活動や研修、出張もあり、なかなか自分のためのリフレッシュの時間というのがとれないのが実情です。
先日、学校関係者による心理関係の大会が大阪であり、自主研修として参加してきました。文科省の方の講演や大学、小・中・高の現場で活躍されている教員のワークショップや研修会があり、充実した2日間でした。わたしもポスター発表で、高校と特別支援教育の推進ということをテーマで参加してきました。
こんな支援が検証の結果、有効でしたとか、高校での課題は、こうした特徴がありますとも、少ない実践事例ではまだ言えません。今ある現状から何ができる、何をしなければならないことを、本人は、教員は、保護者は、周囲はといったそれぞれの持ち場で、考えて行動することが大事だという思いだけでの参加でした。
昨年夏にハローワークの就業援助部門で、担当者待ちをしていた時、若い男性がやってきて、聞き漏れた話を総合すると、大学から就職した後に、勤務先での躓きで退社し、その後、再就職をするものうまくいかず、ハローワークに相談にやってきたが、一般部門から、この部門を紹介されたということのようでした。この部門に紹介されたことの意味合いもあまり分かっておられないようで、声のトーンも大きさも独特で、困り感のある特性をもった方かもと思って聞いていました。おそらく彼もあと数回、離退職を繰り返せば、社会での躓きで自尊感情が低下し、負のエネルギーが増大し、引きこもりや自傷行動につながるリスクのある方だとも思いました。そうなるまえに、ハローワークの就業援助部門で相談することは有効だったと思います。
私は高校でニーズのある生徒の支援をすることだけが、高校における特別支援教育ではないと思っています。高校で支援をするのは、その場をうまくやり過ごすこともあるだろうし、本人がやり方や方法をモデリングしてもらうこともあるかもしれません。ただ、支援を続けることではなく、フェードアウトをしながら、支援がなくても自分なりに問題解決を考えながら、ゆっくり適応していくということが高校における特別支援教育の在り方だと思っています。そのためには、本人への告知も必要ですし、特性を知ることも重要だと思っています。
こうした思いだけで、まずは高校現場における特別支援教育の意義や重要性、認知度を高めることを優先に、ポスター参加をしたのが狙いです。たくさんの方がポスターの前で立ち止まって、話しかけていただいて、広報的な役割も果たせましたし、会話の中で今まで気がつかなかったことも再認識できたので、有意義な教員研修でした。

田杼 弘行(たどち ひろゆき)
神戸市立兵庫商業高等学校 教諭 特別支援Co
すべての学校に特別支援教育をという文科省通達から5年目。しかし高校現場でのギャップ。一教師として、できることを探りながら、様々な「話題提供を」と、思っています。
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