2011.08.03
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ニュートンカップ・ジュニア英語スピーチコンテスト

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長 安居 長敏

「使える英語」を身につける

1999年4月、それまでの女子高から共学化し、学校名も「滋賀学園」に変更した本校は、2004年4月から文部科学省のSELHi(スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール)指定を受けました。以来、「徹底した音読指導」を授業の柱に、「英語は英語で学ぶ」ことを実践してきています。

国語科とも連携し、豊かな表現力を身につけた上で、自らが積極的に周囲と関わっていく「発信型コミュニケーション」能力の育成を課題とした一連の取り組みは、スタート時点こそ研究指定のために仕方なく・・・といった印象がありましたが、すぐにその魅力が実感できるようになり、たちまち積極的かつ能動的なスタイルへと変貌していきました。

そのきっかけとなったのは、一年間の海外留学、英語スピーチコンテストへの挑戦、英語検定の受験、この3つです。いずれも、最初から自信を持って「やります!」と言える生徒はそんなにいませんが、何年も積み上げられ、しだいに精度の上がった指導法に乗ってしまうと、まるで魔法にでもかかったかのように夢中になり始め、最終的にきちんと成果を出してきます。

そういった流れが英語の授業の雰囲気を作り、基本的に全員受験となっている英語検定の受験対策指導を経ていくなかで、高校卒業時には留学に行く・行かない、スピーチコンテストに出る・出ないに関わらず、全員の英語力が確実にアップしています。まさに「英語に強い滋賀学園」と言われるゆえんがここにあります。

本校主催の英語スピーチコンテスト

一方、そのような英語教育を広く知ってもらい、英語の楽しさを体験するチャンスを作ろうということで始まったのが、中学生を対象にした、本校主催の「ニュートンカップ・英語スピーチコンテスト」でした。

アイザック・ニュートンが万有引力の法則を発見した時に用いたという「りんごの木」の子孫(接木技術で広く世界中で受け継がれている)が本学園に植えられていることから、学校を「ニュートン・スクール」の愛称で呼び、その名を冠した本校主催のイベントがいくつかあります。その一つが、この英語スピーチコンテストで、毎年11月下旬に行われています。

一般に広く行われている英語スピーチコンテスト同様、決められた課題文を暗誦する部門と、オリジナルの英語原稿を作って発表するスピーチ部門があり、今年で10回目を迎えています。当初は、優勝者にはカナダ研修が副賞としてついてきたり、電子辞書がもらえたりと、協賛企業のご厚意もあって、かなり魅力的なものでした。

最近では社会情勢を反映してか、そういった賞品はすっかり影を潜めましたが、反対にコンテストを機会に英語をもっと学びたいと、本校を受験する生徒が出てくるなど、本来の英語スピーチの趣旨にようやくたどり着いてきました。県内の中学校から、力試しにチャレンジさせたいという流れが確実に出来上がったように思います。

小学生対象でも、やれるんじゃない?

それらのノウハウを活かし、今年度から新たに、小学生を対象にした「ニュートンカップ・ジュニア英語スピーチコンテスト」を始めることにしました。小学校に導入された英語教育を支援するとともに、子どもたちの英語への興味を少しでも高めてもらおうと、楽しいイベントに仕立てることを念頭に置いた企画です。

言い出しっぺとなったのは私自身で、入試広報部長という立場上、いろいろな学校や塾を訪問し、情報交換をするなかで、「英語を学びたい、あるいは学んでいる小学生は数多くいるけど、学んだ成果を披露する場がほとんどない」という声を何回となく聞き、「それじゃ本校でやろうじゃないか」と、校内のコンセンサスを得る前に、すでに引き受けていました。

英語科教員ではありませんから、もちろん専門的なことは英語科の先生やALTの力を借りましたが、外部支援者に広く門戸を開いたのも大きな特徴です。外部に開かれてこそ学校の意義があると常々言ってきていることもあり、この企画でもその要素を積極的に取り入れています。

『ハートで感じる英文法』で有名な大西泰斗氏を招き、特別講演会を同時開催するのもその一つ。また、暗誦する課題文の作成に、地域で英語を教えながらイベントで英語司会などをしている友人に声をかけたり、大学生にも審査員として関わってもらったりしています。

また、会場も予選には系列大学のキャンパスを、本選には滋賀県立大学の交流センターホールを借りるなど地域に広く出かけるとともに、地元の教育委員会やテレビ・ラジオ局、新聞社、企業(主に出版系)、子育て支援団体にも呼びかけ、後援をしていただきました。

すべては感動体験のために

いずれも、学校だけで完結させるのではなく、地域とともに作り上げていくイベントにしたいという思いが強くあったからで、そうすることで発表する子どもたちに、少しでも大きな感動体験を味わってほしかったからです。

英語で司会をする本校中学生にとっても、学校の体育館でやるのと外部会場でやるのとでは大きな違いがあるでしょう。できるだけすばらしい環境、大きな舞台を用意して、そこで存分に自分を表現してほしい。緊張するかもしれないけど、「こんな経験をしたんだぜ」とココロとカラダに刻めるようなひとときを体験してほしい。そう願っています。

今回のイベントは、英語を通じて「ちょっと背伸びした体験」をしてみよう・・・が基本コンセプトです。企画する私自身も、少し背伸びをしてみたくて専用WEBサイトを自分で作りました。ご覧いただき、ご意見、ご感想をいただければありがたいと思います。

☆ニュートンカップ・英語スピーチコンテストのホームページ
  → http://www.shigagakuen.ed.jp/hs/

安居 長敏(やすい ながとし)

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。

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