2011.07.25
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

着衣泳を生かして自分の命を守ろう!

特定非営利活動法人TISEC 理事 荒畑 美貴子

 3月の震災を機に、安全な生活をするための指導が見直され、改善されている地域や学校が多いと思います。本格的な水遊びシーズンを前に、今回の指導を参考にしていただければ幸いです。

 

 先日、6年生は着衣泳の授業を行ったので、その概要をお伝えします。

 

  着衣泳をするにあたって保護者にお手紙を配り、下記の物を準備してもらいました。

 ・長袖のTシャツ・長ズボン・靴下・きれいに洗った靴など

 ・2リットルのペットボトル

 ・水泳の準備

 ・濡れた洋服を持ち帰るためのビニール袋など

 

 次に、授業の流れをご紹介します。

 

 まず、水着に着替えさせ、準備体操やシャワーなど、水泳指導の時と同様に授業を始めます。

 その後、簡単に身体を拭かせ、着衣させます。そして、足だけを水中に入れさせてバタ足をさせたり、身体に水をかけたりさせた後、ゆっくりと水に入らせます。

 この段階で、子供たちからは歓声が上がります。「重い!」「すごい!」などと、驚きの声が響き渡ります。さらに、頭までもぐらせたり、歩かせたりします。

 

 クロールや平泳ぎにも挑戦させます。その時に、がむしゃらに泳がせる、ゆっくりと泳がせるという、二通りのやり方をさせます。ゆっくりと手足を動かした方が、泳ぎやすいことを体験させるためです。

 

 それから、空のペットボトルを使って、浮き方の練習をします。仰向けになり、あごの下にペットボトルを抱えていると、楽に浮くことを指導します。また、衣類に空気を含ませると、それだけでも浮くことを教えます。

 

 着衣泳を終えると、プールサイドで衣類を脱ぎ、衣類の水を絞って畳ませます。水を含んで重くなった長ズボンは、二人で協力して絞ると効率的であることを伝えます。

 

 数日前に洗濯実習をした子供たちは、楽しそうに水を絞った後、形を整えて畳み、上手に片づけることができました。

 

 授業の終わりに、水着で泳ぎました。子供たちからは、「不思議な感じがする」といった声が聞こえてきました。

 

 子供たちの感想です。

「服を着て水に入ると、思ったよりからだが重くてびっくりした。ペットボトルを使うとけっこう浮いたし、泳ぎやすくておもしろかった。こんな物が役立つなんて思ってもみなかった」

「もし川や海などでおぼれそうになっても、あわてずに呼吸をすることが大事だと知った。

 また、誰かがおぼれているのを発見したときには、自分で助けようとしないで、近くにいる人を呼ぶのが大切だということがわかった」

 

 教室に戻ってから、着衣泳の反省や、安全面での再確認をしました。

「もし、おぼれそうになっている人を見かけたら、近くにあるペットボトルの中身を捨ててから、放ってあげるといいね」と話したら、意外な顔つきをしていました。中身を捨ててまでというイメージはなかったようです。命を守るために、様々な角度から指導をしていく必要があると思いました。

 

 夏休みに入り、本格的な夏を迎えました。安全に気をつけて、楽しい思い出をたくさんつくってほしいと願っています。

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)

特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com

同じテーマの執筆者
  • 松井 恵子

    兵庫県公立小学校勤務

  • 松森 靖行

    大阪府公立小学校教諭

  • 鈴木 邦明

    帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

  • 髙橋 三郎

    福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop