イエローリボン運動から発展
前略
暑中お見舞い申し上げます。
いや暑中というより熱中ですね。熱中お見舞い申し上げますといったところが実際でしょうか。どうもこう異常に暑くては、子どもたちに「元気に外で遊びなさい。」とはとても言えません。「運動は控えなさい。」と言いたいところです。休み時間は室内で過ごす児童がいて今は普通のような気がします。
さて本校では、先週昼休みにイエローシール運動を実施しました。
これは、「イエローリボン運動」と同様の活動です。
「イエローリボン運動」をネットで検索すると、国によって、また日本国内でもその団体によって意味が様々あるようです。障害者の自立に向けた活動を支援する印であったり、最近では脱原発の印としても使われているようです。
勤務校で実施している活動は、「いじめをしない心の印」としてのイエローリボン運動から発展した、イエローシール運動です。
シールを名札に貼って
すでに学区内の中学校では始まっていたので、小学校でもやってみようということになったのですが、リボンではつけたりはずしたりが大変。
そこで名札に貼れるシールにしました。
運動の手順は次の通りです。
(1)まず色画用紙にマジックで葉っぱを描きます。
(2)その葉に、「ぼくは(わたしは)いじめをしません。いじめを見たら先生に話します。」
といったような宣言文を自分の言葉で書きます。
(3)模造紙に書かれた木にその葉を貼ります。
(4)ハート型または星型のイエローシールを実行委員にもらって、自分の名札に貼ります。
実行委員募集に多数参加
先々週、実行委員を募ったところ、予想以上の子どもたちが集まりました。
なななんと、70名から80名も。これは全校児童のおよそ15%にあたります。
低学年の子どもたちは多少実行委員の意味が分からなかった部分もありますが、それでも興味を示してくれた児童がたくさんいたことにびっくりです。子どもたちの素直さ、純粋さがすばらしい。
実行委員がとても多いので、急遽学年ごとに6枚の模造紙を作成。木の幹を描き、そこに葉を貼ってもらいました。
いじめの本質的な解決を目指す。
早速、運動の影響が出始めています。
その(1)「イエローシールなんて必要ないよね。」というつぶやき。
その声の裏には、「そんな運動をしなくても、私たちのクラスにはいじめはないよね。」という思いも感じられます。
その(2)「先生、イエローシールを貼った人が、ぼくのことをはたいたよ。」と訴えに来た子どももいます。「いじめをしないと約束したはずなのにおかしいよね。」という思いがあるのでしょう。
運動に参加してもしなくても、それがいじめを考えるきっかけになればと思います。
イエローシール運動は、一時的な盛り上がりではなく、じわじわと1年間をかけて全校児童に、保護者に、地域に広がっていってほしいです。
道徳の時間で取り上げたり、人権週間にキャンペーンを実施したりと時々啓発しながらみんなで考え、本当の意味でのいじめがなくなっていくことを願って、夏休み以降の活動にもつなげていこうと思います。
いよいよ来週から夏休み。暑さに負けない夏になりますように、みなさまお体ご自愛ください。

鷺嶋 優一(さぎしま ゆういち)
栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭
この春、勤務校が変わりました。異動したての新鮮な気持ちをダイレクトにつづりたいと思います。そして「ICTと幸せ」についても小学校教育の視点から考えます。
同じテーマの執筆者
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)
「教育エッセイ」の最新記事
