2011.07.06
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改革プロジェクトの基本構想

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長 安居 長敏

マイナスからのスタート

改革にあたって経営者側から示されたのは「選ばれる学校にする」ということでした。あまりにも当たり前すぎて、具体的にどうすればよいのか悩みました。何をすれば、どういう学校なら、生徒や保護者に選んでもらえるのか・・・。もちろん、いいことだからといって無尽蔵にお金が使えるわけではありません。基本的に校舎や施設など、ハード面については現状から大きく変えられない中での改革です。

入れものが同じであれば、変えるものは「学校の中身」しかありません。魅力ある教育をすることで選んでもらう以外、道はないわけです。しかし、一口に「魅力ある教育」といっても難しい話です。あまりにも漠然としすぎていて、10人いれば10通り、100人いれば100通りの考えがあるでしょう。

また、基本的に公立志向の強い滋賀県にあって、長い間、私立高校はあくまでも公立高校の補完校としての位置づけしかありませんでした。今でこそ、それぞれの私立高校が特色ある教育を展開するようになり、単純にそういう図式では語られなくなりましたが、いわゆる「第一志望で選んで行く学校」ではなく、「公立高校に行けなかったから仕方なく入る学校」というイメージがまだまだ根強く残っています。

さらに、もう一つ大きな制約がありました。それは、今回の改革を現有の教員でやり遂げなければならないということです。新たに外部から有能な教員を招き、教育の質を上げることは、原則できません。つまり、教員自らの意識改革なくしては成り立たないものだったわけです。

そんな中で、いかに魅力ある教育を行い、選んでもらえる学校にしていくか。議論すればするほど、ゼロからのスタートというより、マイナスからのスタートといってもいいような現状が次々と浮かび上がってきました。

改革のゴールイメージ

とは言え、もう後戻りはできません。現状維持という選択肢イコール学校の衰退という、半ば脅しにも似たような中で(後で思うに、それくらいでないと現場は真剣に動き出さないという気持ちが経営者にはあったのでしょう。実際、私も同様の気持ちでいましたし、率先してわざとそういう言動をしていました)、とにかく前に進むしかなかったのです。

とにかく「魅力ある学校」「選ばれる学校」というイメージを具体化しなければ、何も始まりません。他の私立高校、県内の公立高校を視野に入れ、学校の核になるものを探していきました。結果、多くの生徒にとって高校は学びの最終ステージではないということ。つまり、上級学校に進むための通過点であり、そこで必要なことは「確かな学力」をつけるという、その一点に集約されました。

確かな学力とは、どういう形で示せるのか。いうまでもなく、それは進学実績です。いろいろな意見があることは承知で、しかし現実に目を向ければどうしても避けて通れないものがそこにあります。生徒や保護者がまず最初に目を向ける学校の評価基準は「どの大学に、何人進学しているか」です。誰も、それが全てだとは言いませんが、心の奥に見え隠れする本音はそれ以外の何物でもありません。つまり、進学実績を上げることが選ばれる学校になるための最低条件だということです。

ということで、最終的にまとまった改革のゴールイメージがこれでした。

『生徒・保護者・地域の期待に応え、地元を代表する進学校になるため、抜本的な改革を断行し、「ハイレベルの大学進学」を実現する。』

目標達成のために「期限」を定める

ゴールイメージができ上がれば、次は実行です。前回も書きましたが、イメージができた段階で、確実に改革を実行していくために「期限」を定めました。内外に「もう後には引けない」宣言をしたわけです。

当時のペーパーでは・・・

☆3年後《2012年3月時点》で、
・学校改革により、完全に変わった新しい学校を確立する。
・新しい生徒を受け入れ、新しい教育システムが提供できる準備を完全に整える。
上記目標値が達成できる仕組みが整い、稼働する状態になっている。

☆6年後《2015年3月時点》で、
上記目標を全てクリアする。

と謳っています。

4つの切り口から

さて、具体的な実行計画ですが、大きく4つの領域に分けて手をつけることにしました。改革プロジェクトのコアメンバーが最前線で活躍する、それぞれの分掌リーダーだったこともあり、「入口対策」「中身対策」「出口対策」「教員資質向上対策」の4領域をそれぞれのメンバーに担当してもらうことによって、現状を踏まえた中での”実践的な改革”を狙ったわけです。

各領域を少し説明すると・・・

☆入口対策:主に入試広報部のマター。塾や小中学校との連携を強化。改革後の学校運営にふさわしいレベルと数の生徒を確保。

☆中身対策:主に教務部のマター。出口レベル達成のための教育内容の革新。類系・コース再編案の策定、実行。

☆出口対策:主に進路指導部のマター。進学実績を担保できる指導体制の確立。キャリア指導を含む進学情報提供環境の向上。

☆教員資質向上対策:主にプロジェクトリーダーのマター。難関大学進学レベルの指導を実現するための教員向け教育。

以上が、そのガイドラインです。これに沿って各部門で改革を行い、先に述べた期限に従って粛々と仕組みづくりをしていくことが、今年度末(2012年3月)までの、改革前半3カ年の基本計画でした。

(続く・・・)

安居 長敏(やすい ながとし)

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。

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