2011.07.08
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保護者との連携 ~その布石から伏線へ~

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 1学期は家庭と連携して、子どもを育てる基盤づくりが大事だと考えています。通常は、学級通信などの通信物で連絡することが多いわけですが、直接、保護者と会う機会は大変重要だと考えています。
 本校では、4月下旬の授業参観後の学級懇談会が、その第一回目となります。私はそこで、学級担任としての所信表明をすることにしています。
 まず、『教育とは何か』という「根本・本質・源」を話します。続いて、学校教育の位置づけを、家庭教育との関わりで話をします。それは、学校教育は、家庭教育という土台の上に成り立つものであるとともに、その連携強化により、「教育の目的」が達成されるのだというもの(持論)です。

 その上で、学級経営方針を説明します。
 本年度の学級経営方針は、「子どもと子どもたちのよさを加速させるために、楽きびしく鍛える」ことであると伝えました。そして、その具現化のための5つの手立てを明示しました。
 (1)「学習を高速化」させるために、学びの効率化を図る。
 (2)「教えて任せる」ことで、自主・自立を促す。
 (3)「よさを見つけ合う」ことで、自己肯定感や有用感を感じさせる。
 (4)「『あい』を増やす」ことで、思いやりの育成を図る。
 (5)「多様な学習形態」をとることで、学びの楽しさと学び方を身に付ける。

 そして、実際の子どもたちの学校での学びの様子を、スライドショーで紹介しました。
 その後、保護者には、
「それぞれのお子様のよさと、そのよさをどのように伸ばしていくかについては、家庭訪問でお話しせていただきます。そのために、家庭で考えているお子様のよさを3つ教えていただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。」
と言って締めくくりました。
 つまり、保護者と直接会うことのできる2回目に向けて、「連携のための布石」を打っておくのです。

 これまでの私の家庭訪問は、子どもに関する情報交換をして、保護者と担任が共通理解をするということを主目的にしていました。しかし、最近は、次のような「3つの大きなねらい」を持って家庭訪問をするようにしています。

 その一つ目は、家庭では、普段の生活の中では、どうしても子どもを叱ることが多くなっています。そこで、改めて保護者に自分の子どものよさを認識してもらいたいと考えたのです。つまり、日常生活の中では、子どもの問題点にばかり目がいってしまうところを、よい点に目を向けて話し合うというわけです。「子どものよいところを3つ探す」というのは、大変だった家庭もあったようですが、それは心地のよい苦痛になったのではないかと思っています。「こんなよさがあったんだ。」「そうだったよね。」と、保護者自身が我が子のよさを改めて認識することになるからです。つまり、子どもをよい面(長所)から見直していただきたいと考えたわけです。

 二つ目は、子どもの自己肯定感や自己存在感、自己有用感の「核」を形成するねらいがありました。小学校も高学年になると、自分のよいところが見つけられない子がいます。「自分にはいいところなんてない。」「自分はダメな人間だ。」と、考える子までいます。しかし、それはその子自身が悪いわけではなく、学校や家庭での対応に問題があると考えました。つまり、学校や家庭で「早くしなさい。」「ぐずぐずするな。」「そんなこともできないの。」といったことばかり言われていれば、「自分にはいいところなんてない。」「自分はダメな人間だ。」と考える子になるのは、しかたがないのではないかということです。そこで、1年に1度の家庭訪問の機会に、子どものよいところを再認識してもらい、具体的にそのよい点が見えたら、その場で事実を指摘してほめるようにお願いしたのです。
 たとえば、「優しい」というよいところを持っているならば、下の子の面倒を見てくれている時に、「優しいのだから当たり前」と考えるのではなく、「面倒見てくれて、ありがとう。」「面倒を見てくれるので、お母さんは助かるわ。」と言葉に出して、その優しさをほめてほしいということです。
 こうすることで、子ども本人は、何気なくやっている行動かもしれませんが、周りの大人が具体的にほめることで、子ども自身が「自分のよさを認識する」ようになります。この「よさの認識」が、前述の自己肯定感や自己存在感、自己有用感といった『自尊感情の核』を形成すると考えたのです。
 心を育てるためには、この『自尊感情の核』を形成し、それを育てていかなければなりません。今後、家庭と担任が本当の意味(子どもを育てるという視点)で連携していけるようにお願いしました。

 三つ目は、担任の教育の対する考え方を知っていただくことをねらいとしました。学級通信でも、担任の考え方や学級の様子を知らせますが、直接、伝える機会としたかったのです。本学級では、「学校は100点のテストが取れるための勉強をだけをするところではない」というスタンスをとっています。学級は小社会です。いろいろな友だちがいる中で、その関わりを学び、他者を理解し、自分のよさを知り発揮することを、学習内容(主に教科書)の理解と同じぐらい大事と考えています。それを、通常の授業の中に組み込みながら、勇気を出して、よさを発揮する行為を評価しています。現在、本学級での子どもたちは、仲よく意欲的に自分のよさを発揮している状況が見られます。今後、さらに、個人もチームもクラスも、そして学年も伸びるようにしていきたいという考えを伝えました。

 今年の家庭訪問では、以上のようなことを考え、伝えてきました。
 これから、ますます厳しくなる社会の中で、自分(自己肯定感・自己存在感・自己有用感)を持って、夢や希望に向けて努力できる子どもに育つように、大人が連携して子どもを育てることに一層、本気になっていかなければならないと考えています。

 まもなく1学期が終わり、夏期休業となります。そこでは、保護者と直接会える3回目の機会である二者面談(保護者面談)が予定されています。さらに、保護者と「子どもを育てる連携」を深めたいと思っています。 

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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