2011.07.05
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もう一人のコーディネーター

神戸市立兵庫商業高等学校 教諭 特別支援Co 田杼 弘行

6月の第4週は、関西では梅雨の晴れ間の中休みで、猛暑日もあり大変HOTな日が多く、クーラー稼働は例年7月1日と暗黙のルールがありますが、先週は前倒しで稼働していました。状況にあった対応でよかったと思います。

 先日、とある高校の管理職に個別の指導計画についてレクチャーを求められ、炎天下の中、校長室を訪問しました。保護者や本人の願い、具体的な数値目標の設定等、ひととおりの概略を説明した後、個別の指導計画に話題が移り、欧米では個別の指導計画は、教育に関する契約でもあるため、校長印が必要だとの話をしました。

個別の指導計画について文科省は、義務化はしていませんが、現場実態に応じて運用・活用するように奨励しているようです。これまで、特別支援学校が通知表の代わりでより具体的に記述した計画書・報告書のようなものが個別の指導計画だと理解をしています。と一定の解釈を披露しました。

すると、校長は、計画書通りにいかなかったら、校長印を押した責任はどうなるのだ、それに対して保護者からのクレームがあるのではないかと、ある種のパニックかフラッシュバックのような感じで話をしていたのが印象的でした。校長は、個別の指導計画を作成するにあたり、教頭や校内委員会長の印は問題はないが、校長印には抵抗を感じると述べました。

個別の指導計画を立てる際に、実態把握や計画作り、評価点等の難しさが論議になるのがこれまでいろいろな会議で話題に上がることが多かったのですが、校長印の要・不要の話題が校長から出てくるのは驚きでした。当事者の保護者が聞くと、具体的な方針ではなくて、個人的な保身が先行していることに、それこそクレームがつくのではないかと思いました。

 

最後に、校長は特別支援教育コーディネーターのコーディネーターであり、特別支援教育推進の責任者でもあり、個別の指導計画の作成や見直しにかかわったり、特別支援教育コーディネーターが動きやすいようにサポートするのがもう一人のコーディネーターでもあります。といってレクチャーを終えました。

高校現場での特別支援教育の推進は、管理職がこの程度では大変だなぁと、校長室を後にしました。

 

 

田杼 弘行(たどち ひろゆき)

神戸市立兵庫商業高等学校 教諭 特別支援Co
すべての学校に特別支援教育をという文科省通達から5年目。しかし高校現場でのギャップ。一教師として、できることを探りながら、様々な「話題提供を」と、思っています。

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