季節の移り変わりは早いものでといいながら、時間経過はいつもと同じなんですが、今年も梅雨入りしました。被災地域や原発地域の方々は、例年とは違ったいろいろな心配事があるのでしょうね。心中お察しします。
さて、高校ってみなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか?高校現場にいる方でも、他の過程とあまり交流の経験がない場合は、イメージがわかないかもしれませんね。現在が高校現場とあまりかかわりがなければ、ご自分の高校時代がだいたいの高校のイメージとおもっておられるかもしれません。
高校には、課程で全日制、夜間定時制、昼間定時制、通信制、単位制、中・高一貫校で高校のライフスタイルともいえます。学ぶ時間帯が異なると考えればわかりやすいかもしれません。
全日制は、月曜から金曜まで1時間目から6時間目まであり、1週間に30時間で、毎日8時半過ぎから3時半前後まで授業があります。ただ、私学の一部では、土曜日も午前中授業の学校もあったり、公立高校でも授業日数確保の観点から0時間目や7時間目を実施して進学実績を上げている学校もあります。
さらに、普通科、工業科や商業科のような専門学科、普通科と専門学科の両方を学習できる総合学科などがあります。普通科の外部評価として、進学校、中堅校、課題集中校、があり、世間(中学3年生)のニーズの変動により定員割れを心配しなければならない学校もあり、選ばれる学校を目指して特色化を目指している学校も多いです。
夜間定時制高校は、教員の勤務は昼過ぎからですが、生徒は5時過ぎから9時過ぎまでで、月曜から金曜まで1時間目から4時間目まで1週間に20時間、4年間かけて単位修得を目指します。単位修得の考え方はどの高校タイプでも共通ですが、履修と習得です。履修は出席で習得は成績です。どちらについても既定の成果を修めなければ、単位認定とはならず、留年(落第)となります。
通信制は、履修としては出席の代わりにレポートやスクーリング、習得はテストで判断されます。高校の特徴的な部分はありますが、概略は上記のようなものです。
高校で特別支援教育は現場でも必要性を感じているからと、通達もあり、取り組みを始めなければなりませんが、小・中学校とは組織の在り方が大きく変わっていることと、発達過程の課題も変わっています。一概に特別支援学校のノウハウ適用や中学校での取り組みの焼き直しでは、うまくいかないことが多いということです。
私が以前勤務していた定時制高校の話題を提供したいと思います。<<個人情報保護のため内容を一部変更しております。>>
新入生は毎年200人前後で定時制高校では多い方です。しかし4年後に卒業するのは約半数です。新入生には、不登校経験者や全日制高校の中途退学者、全日制高校を不合格になった生徒、高校未卒の成人等、入学前の経歴は様々です。
成人入試で角界から受験した生徒がいました。中学卒業後、上京して部屋入りしたが、夢破れ、心機一転、高校の門をたたくことになったようです。入試当日も入学後しばらくは、ちょんまげとゆかた姿で、まげも勝手にきれず、こんな私でも断髪式をやってくれるので感謝しているとのことでした。とはいえ、国技館からは遠く離れているので、周囲からは興味の目で見られ、当時は角界のいじめの問題がニュースになった時期とも重なりつらかったのではないかと心配しました。入学後、彼とも人間的なつながりができたときに、いじめはあったかと聞いたところ、自分は本当によくしてもらったし、勉強もみてくれたし、かわいがってもらった。かわいがってもらったというとまた誤解を招きそうだけどって真剣なまなざしで語ってくれたことを思い出します。(ここは編集していません)
入試の作文では「私の夢」という題材でした。60分の時間でかけたのは、名前だけでした。やる気があるのかとの疑問の声が職員の間では話題になりましたが、面接では相撲をやめたあとの生活設計は、柔道整復師として活躍し、いずれは店を出したいという希望を話してくれました。
定時制高校卒業後すぐの専門学校では不合格になりましたが、翌年見事に合格し、何年か修業をしたのち、現在ではスタッフを何名か雇い開院しています。私も彼の店に何度かいきましたが、リラックスできる至福の時間を与えてくれます。
定時制高校にはいろいろな生徒がやってきます。次回は児童施設の生徒の頑張りを書きたいと思います。

田杼 弘行(たどち ひろゆき)
神戸市立兵庫商業高等学校 教諭 特別支援Co
すべての学校に特別支援教育をという文科省通達から5年目。しかし高校現場でのギャップ。一教師として、できることを探りながら、様々な「話題提供を」と、思っています。
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