2011.06.10
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楽しい学級づくり

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

出入り口の掲示 凹字型配置 my AKB48

 新学期がスタートし、早2カ月。どの学級でも学級の様子が見えてきたことと思います。また、小学校では、今年度から新学習指導要領が実施となり、指導内容とともに指導方法も大きく変わってきていると思います。もっとも、変えなければ、盛りだくさんで厚くなった教科書を使い切ることができませんよね。

 ところで、教科書の内容、いわゆる授業内容(教える内容)にばかりに目がいきそうですが、近年、「学級づくり」が注目されています。
 いかに、指導者の教科指導における技術が高くても、子どもたちの学びの姿勢ができていなければ、身に付く学習はできないということです。当たり前のことが、今また注目されているのです。それは、なぜなのでしょうか。

 現在の学校はポジティブリスト主義で、何でも抱え込んで、解決しようとしています。文部科学省を始め、市町村や民間団体からの要望や要請があると、「悪いことではないので、やってみましょう」「せっかく頼みに来たのですら、受けましょう」的な発想で、取り入れてしまいます。その一つ一つは小さくても、細々とした仕事が増えることは、担任の負担を増やすことになります。
 一方、学校というところは、「○○をやることにしたので、□□をやめることにしました」という『やめる』という発想がないのです。
 このような現状ですから、「学級づくり」の大切さがわかっていても、「とにかく授業をして、教科書(内容)だけは教えたい」ということになってしまうのです。

 私は今年度、そのような現状を打開し、『楽しい学級づくり』が自然にできるように仕掛けています。
 私は、初めての持ち上がりの3年(1組)を担任しています。持ち上がりと言っても、クラス替えがありましたので、三分の一の8人が持ち上がりの学級(24人)です。担任を知っている子と知らない子が混じる学級を、どのようにまとめていくかが、年度当初の最大の課題でした。
 そこで、仕掛けたことは、以下の2点です。
(1)わかりやすいキャッチコピーを用いて、一体感を創る。
(2)持ち上がりの8人を活かして学級づくりをする。

 (1)については、新学期早々、教室の出入り口に、『君はAKB48だ!』という張り紙をしました(写真)。つまり、否応なしに決めつけ、そうしなければならない雰囲氣をつくってしまおうとしたのです。(後で、その意図や趣旨は説明します。)
 なぜ、『AKB48』なのかというと、流行っているからです(流行)。簡単です。つまり、このキャッチコピーは絶対に忘れないということをねらっているのです。しかし、その内容は、「あいさつ・ありがとうで、気持ちよく、勉強がんばる、48の瞳」で、いたってシンプルなのです(不易)。
 「流行」と「不易」を上手く組み合わせることが、これからの教育の大きなポイントとなると考えて、その具体策の一つでもあるのです。

 (2)については、新学期の翌日には、席替えをするとともに、凹型の配置にしました(写真)。8人のかたまりを3つつくり、そのそれぞれのかたまりの名前が、チームA、チームK、チームBなのです。さらに、そのチームには、持ち上がりの8人を上手く配置し、チームを活性化させるようにしました。予想通り、各チームのリーダーには、持ち上がりの子どもがなりました。
 今、いい意味で競い合い、励まし合い、高め合うAKBのチームがあります。そして、毎日、学級づくりのための仕掛けで楽しんでいます。

 しかし、これはまだ、本学級の教育の土台づくりに過ぎません。さらに、次の仕掛けを用意して、子どもと子どもたちを大きく成長させようと考えています。

 ところで、4月18日に、本学級は本物の?『AKB48』になることができました!(笑)それは、3年2組の子どもたちと1日、合同授業を行ったからです。1組と2組を合わた人数はちょうど48人!
 正に、「あいさつ・ありがとうで、気持ちよく、勉強がんばる、48人!」で、各チーム16名で楽しく授業をすることができました(写真)。

 一番、楽しんだのは、担任の私だったかもしれません。
「学級づくりは、楽しい!」 

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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