おらいもワークって何だ?!(後編)
(写真左 厚沢部町キャラクターおらいもくん 中 1・6年生合同登山 右 校庭のさくらの下を登校する児童)
(おらいもワークって何だ?!前編つづき)
メンバーの集まったたてわり班は、6年生や5年生の指示により長縄跳びの連続跳び練習を始める。1年生にとって、大縄がブルンブルンと目の前で回転するさまは、ある意味「恐怖」である。それを上級生が、
「ほれ、今だ。」「ここに縄がいったら入るんだよ。」
と言葉でタイミングを教える。場合によっては(1年生のキャラクターによっては)、言葉ではなく体で教える。そのタイミングの瞬間に背中をポン、と叩いてやるのだ。背中をポン、がだんだん興奮してくると、背中をドシン、になることもあるが悪気はない。可愛い1年生が、早く長縄跳びが跳べるようになるためにみんな必死なのだ。
この必死さが実を結び、運動会当日はどのグループも自己新記録続出! というドラマチックな展開になる・・・はず。
当日は、運動会プログラムの中に紅白対抗の種目とは全く関係なく、この「おらいもワーク、たてわり班によるロープジャンプ」という種目が設定されている。都市部の中・大規模校ではこんな悠長な種目をプログラム内に入れる余裕はない。保護者・御来賓も応援の仕方に戸惑う種目ではあるが、1年生から6年生までが一斉に行える唯一の種目として楽しんでほしい。
上級生の頑張りがクローズアップされるが、実は2、3年生の子ども達も見逃せない。
「去年までは、跳べなくていじけていたのを上級生が励ましてくれた。今年は、もう背中をドシンとされなくても自分の力で跳べる!」
という喜びである。たくましい2年生は、上級生になりかわって教えている子もいる。これも異学年活動の醍醐味である。同学年集団の中ではあまり目立たない子、どちらかというと後尾のほうをついていくことが多い子に、活躍できる場が生まれる。
おらいもワークはこの運動会の取り組みだけではなく、「おらいもゲーム大会」「おらいもランチタイム(給食をたてわり班で食べる)」「おらいも読み聞かせ(5・6年生が絵本などを読み聞かせする)」「おらいも雪遊び」などと続いていく。そして3月、「おらいも解散式」でおわかれする。
おらいもワーク。前編でも述べたが、効果は子どもたちの心を育むことだけではない。135人の児童を全職員(事務職さんも公務補さんもみんなみんな)で教え育てる、という本校のよさを一層深めることに一役買っている。ひとりの児童のことについて複数の職員が、「ああでもない、こうでもない」と話し合えるのは(オフィシャルな会議の場でなく、休み時間、放課後、そして夜の教育懇談会?!)とてもとても素晴らしいことだと思う。
小規模校ならではのおらいもワーク、名前はむむむ?!、だがアナドレナイ。

久慈 学(くじ まなぶ)
厚沢部町立厚沢部小学校 教頭
北海道で小学校教員、今年は教頭職三年目。ニューデリー日本人学校での経験を生かし、片田舎から世界を、世界から片田舎を見つめつつ発信したいと思います。
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