5月5日は、祝日「こどもの日」です。祝日は、1948年7月20日に公布・即日施行された「国民の祝日に関する法律」(祝日法)に基づくもので、「自由と平和を求めてやまない日本国民が、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日である。」と定義されています。
ところで、祝日「こどもの日」は、どんな趣旨があるのでしょうか。調べてみて、意外なことが分かったので、次のような道徳の授業(写真)を5月2日に行いました。
まず、『こどもの日』と板書し、今日のテーマを知らせました。すると、
「こどもの『子』は習いました。」
という声がしました。予想していた反応です。そこで、
「このこどもの『こ』は、平仮名なのです。確かにこどもの『子』は習っていますが、この場合のこどもは平仮名で書くことが法律で決められているのです。」
と、説明しながら、『一.こどもの日はいつか?』と板書し、ノートに答えを書いてもらいました。もちろん、誰もが5月5日と書きました。そこで、
「5月5日が『こどもの日』ですよね。法律、つまり日本で暮らす人が守らなくてはならないきまりに、そう書かれ、決められているのです。そして、その日は学校などが休みになっています。」
「ところで、そのこどもの日やその前後のお休みに、みなさんは何をしていましたか? または、何をする予定でしょうか?」
と聞き、ノートに書いて発表してもらいました。
子どもたちから出たものは、お金をもらう、お出かけする、ゲームを買ってもらう、遊びに行く、食事に行く、などでした。予想通りです。そこで、
「こどもの日は、何のためにあると思いますか?」
と聞きました。(ここでも、自分の考えがはっきりするように、ノートに書いてから発表してもらいました。)
少し考える子もいましたが、ここでも全員に発表してもらいました。なかなかおもしろい意見が出ました。まとめると、
(1)子どもがいつもがんばっているから、もらったり、遊んだりするため。
(2)1年に1回の子どものお祝いのため。
(3)子どもが元気でいられるように。
(4)子どもを楽しませるため(子どもが楽しむ)。
このように、「子どものために」という意見が出されました。教えられていないのですから、「こどもの日」は子どものためと考えるのは当然でしょう。みんなが納得して、安心しているところで、次のような展開をしました。
「こどもの日が何のためにあるのかも法律に書いてありますので、紹介します。そこには、こどもの日は、『こどもを大切にし、こどもが幸せになるように考えるとともに、母に感謝する日』と記されています。」
(国民の祝日に関する法律(祝日法)2条によれば、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」と明記されています。)
この説明を聞いた子どもたちは、
「子どもを生んでくれたお母さんに感謝する日なんだ・・。」
と、一様にパラダイムシフトをすることになりました。最後に、
「今日、勉強しての感想と自分のやるべきめあてを書いてください。」
と言いました。
「こどもの日」が実は、お母さんに感謝する日なんだと知った子どもたちは、もうそれ以上何も言わなくても、感想とめあてを書き、発表してくれました。
今年の「こどもの日」は、子どものためだけでなく、お母さんに感謝する日になったことしょう。そして、「こどもの日」の明後日(8日)の「母の日」も、意義深い日になったことと思っています。
大谷 雅昭(おおたに まさあき)
群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。
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