5月2週目となりましたね。本校では、GWが終わると、すぐに体育大会があり、その2週間後には中間考査が始まります。
そして6月上旬から、高校総体の地区代表や県代表の出場をかけた試合が始まります。そして中間考査の結果が出そろったころに、成績も含め、生活全般についての保護者面談が始まり、それから2~3週間すると1学期の期末考査が始まり、1学期が終了します。
これを書くだけでなんとなく、1学期が終了した気分になります。
これまで時間の流れがビデオの倍速送りのような感覚で1学期の終了を迎えることが多かった気がします。
高校で特別支援教育を考えたとき、教育的ニーズを要する生徒が、学校生活をスムーズに送るために支援を行うことだろうと、多くの教員が答えると思います。間違いではありませんが、何か重要なことが欠落している気がします。
高校の多くの教員が特別支援教育の概念がを持たなかった時代でも、教育的ニーズを要する生徒は、自分が生徒の時も、教員の時も一定数在籍していたと思います。
現在ほど、クローズアップされることがなかったので、大きな話題にはならなかったのでしょう。
しかし彼らは、高校生活では彼らなりの生きづらさはあったでしょうが、その場をやり過ごしてきました。
教育的ニーズを要する生徒が一時的に「変わった奴」として扱われて、いじめやからかいの対象となったかもしれませんが、小中学校時代よりも高校の時のほうが安心感はあったとよく聞きます。
言い換えれば、高校1年生の時は多くの中学校から集まってくるので、お互い観察、様子をうかがっているときが、教育的ニーズを要する生徒の環境を守る必要があると思います。そういう意味では、中学校から事前に教育的ニーズを要する生徒の教育情報の共有化が重要になってきます。
高校2年以降は高校側で、比較的理解のあるおだやかな性格の生徒を集めたり、これまで関係性のあった生徒と距離を置いたりしたクラス編成を含めた環境調整をすることで、おおむね解消できているのだろうと思います。
繰り返しになりますが、教育的ニーズを要する生徒の環境の不安定時期は高校1年生であり、中学校から事前に教育的ニーズを要する生徒の教育情報の共有化が重要になってきます。
上記に「何か重要なことが欠落している気がする」としていますが、高校教員が教育的ニーズを要する生徒の進路と、向き合えていない気がするということです。
先日、就職活動についてのテレビ番組をみました。大学卒業後の就職活動がうまくいかない、就職できても職場の人間関係で離職を繰り返し、自己肯定感の低下、引きこもりや統合失調症になり、結果、高機能自閉症の診断を受けて、障害者雇用枠でジョブコーチに支えられながら就職したというドキュメントでした。
これは、高校でも教育的ニーズの要・不要に関係なく、すべての生徒に特別支援教育が必要であると思いました。
ニーズのある生徒の環境調整だけの支援では、次のステージでのギャップに戸惑うだけで十分な支援につながっていないのではないか、早急に高校で個別の支援計画の作成と、次のステージへの引き継ぎをスムーズにするための個別の教育支援計画の策定の必要性を感じました。
ニーズ不要の生徒でノーマークの生徒の大半が、大学卒業後の就職にもスムーズに行えていますが、成績が優秀だからとか、学校生活では特に問題がなかったからと、ノーマークの生徒でも一部は戸惑いやマイノリティとして生きづらさを感じているのではないかと思います。
幼少中高校での特別支援教育の役割が、それぞれの発達段階に応じてあるものの、高校ではまだ十分に発揮できていませんが、多くの生徒の進路と向き合うことが高校での特別支援教育の役割ではないかと、これまでかかわってきた生徒やテレビで現実を突きつけられて、最近思ったところです。

田杼 弘行(たどち ひろゆき)
神戸市立兵庫商業高等学校 教諭 特別支援Co
すべての学校に特別支援教育をという文科省通達から5年目。しかし高校現場でのギャップ。一教師として、できることを探りながら、様々な「話題提供を」と、思っています。
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