私が子供の頃は、近所の友達みんなと、集団で遊ぶことが当たり前でした。幼なじみの顔を思い出すと、年下や年上の異年齢の集団であったことがわかります。
ですから、弟妹がいない子供でも年下の友達の面倒を見ていましたし、逆に兄や姉がいなくても年上の友達の言うことはよく聞いていました。
さて、うちのクラスは6年生になり、入学式の翌日から1年生の面倒を見るようになりました。昇降口で1年生を迎え入れて教室に案内したり、ランドセルの片付けを手伝ったりということから始めました。
中休みになると1年生を誘って、校庭で一緒に遊ぶことも行ってきました。
本校では、「1年生を迎える会」が終わるまでは、1年生だけでは校庭に出て遊ぶことができない決まりになっているので、6年生が遊んであげることはとても大切です。校庭に出て遊ぶことによって、心も身体も解放されるからです。
先日、中休みに1年生の教室の傍を通ると、廊下に6年生を待つ1年生の姿が溢れていました。みんなピョンピョンと跳びはねるようにして、6年生が授業を終えて迎えに来てくれるのを待っているのでした。かわいいらしい姿に、思わず笑みがこぼれました。
6年生はそんな1年生とのかかわりをどのように捉えているのか、感想を聞いてみました。
まず、弟妹がいない子供の感想です。
「1年生は、最初どんな子なのかわからなかったけれど、毎日遊んでいたら、いろいろなことがわかった。その子は外で遊ぶのが好きで、特にジャングルジムで遊ぶのが大好きだった。
私は兄がいて、遊んでもらう方だったので、小さい子にどうやって楽しませていいかわからなかったけど、いろんなことを通して楽しんでくれるようになった」
「1年生は、思ったことはちゃんとしゃべり、遊びたくないときは、遊びたくないと言う」
1年生は自分たちよりかなり年下ではあるけれど、自己主張をしたり、個性を発揮したりすることに、クラスの子供たちは新鮮な驚きをもって接してきたようです。最初は苦手意識が高かった子供たちも、次第に面倒を見ることが楽しくなってきたのだということを、改めて知りました。
また、1年生の面倒を見ることを通して学んだことも多かったようです。一部をご紹介します。
「1年生と遊んだりお世話をしたりして学んだことは、話し方です。早口で言ったり、難しいことを言ったりしてもわからないから、話し方を工夫するのは大事だと思いました」
「1年生の面倒を見て、ぼくは相手を考えて行動できるようになりました。例えばトイレに行ったときには、1年生が戻ってくるまでトイレ付近で待っていてあげることができるようになりました」
「1年生は、興味津々なことがたくさんあるけれど、やっちゃいけないことは、はっきりと『ダメ』って言わないといけないと思った」
それから、思わぬ効果もありました。5年生の頃は外遊びが苦手で、教室で過ごすことが多かった子供たちも、1年生のために積極的に校庭で遊ぶようになりました。「1年生に友達ができて嬉しかった」とか、「1年生が鉄棒をやっているのを見て、自分も頑張ろうと思った」などという反応もありました。
本校では、これまでも5・6年生が交流する遠足や百人一首大会・スポーツ大会が行われてきました。運動会でも、5・6年生が一緒に演技や競技を行ってきました。
また、異学年交流を目的とした縦割り班の活動も行っています。これは、1~6年生の子供たちがグループを作り、遊んだり給食を食べたりするものです。
異年齢集団での遊びが地域から消えて久しいですが、小学校の多くでは学年間の交流が盛んです。
これからも意義を捉え、しっかりとした目当てをもって、異年齢との交流からたくさんのことを学ばせていきたいと思っています。

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)
特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com
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