2011.04.27
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学校は「多細胞生物」

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長 安居 長敏

高校に中高一貫校が併設されている本校では、年度によって所属が高校になったり中学になったりします。昨年度は中学所属で中1の数学を担当し、中学教務部長と入試広報の仕事をしていた私ですが、今年度は高校へ異動になり、高2の文系・生物Ⅰと理系・化学Ⅰを担当しながら、中高の入試広報部長を任されることになりました。

入試広報部は、いわゆる生徒募集の最前線に立ち、「営業」を行うセクションです。正規の授業を持ちながら、少ない人数で業務をこなしていくのは、正直言ってかなりキツイ状況なのですが、私学を取り巻く昨今の情勢を考えれば、専属担当者を何人も抱えることはできません。

また、営業とはいえ、売る商品は「学校」や「授業」であり、集めるのは「生徒」です。自ずと一般企業とは違った対応が要求されます。授業を担当していてこそ語れるコトバがあるのも事実で、きめ細かな指導に基づく確実な学力伸長を大事にしている本校では、授業を抜きにして営業は成り立ちません。

先日、生物Ⅰで「細胞」の学習をした際、単細胞生物と多細胞生物の違いについて、中学校で習ったことを発表させました。多数の細胞が集まってできている生物が「多細胞生物」であり、多くの細胞がスムーズに連携し、生物体のポテンシャルを最大限に発揮しながら、統制のとれた行動をするためには、各細胞が好き勝手に動いていてはいけません。細胞どうしがお互いにまとまり、「組織」や「器官」を形成して、初めて一体感のある働きができるようになります。

そういった、細胞どうしが作り出す営み(内部環境)をベストに保ちつつ、周囲の温度だとか、湿度、土壌などさまざまな外的要因(外部環境)ともうまくつきあいながら、いかに安定的に自分を維持していくかが、生物体としての「生命」であり、次世代へと種をつないでいく大切な役割です。

そんな視点で捉えると、我々教師が、クラス担任だとか教務、進路、生活指導、あるいはどの教科を教えるとか、そういったさまざまな役割分担をしながら、日々生徒に向き合い、教え、導いていく営みそのものが学校の内部環境であり、それを取り巻く外部の存在、つまり保護者や地域の人たち、小中学校や塾が外部環境に相当するのではないかと思います。

一握りのスーパースター、限られた優等生やスポーツ選手、有名教師がいてもダメなのです。それらが歯車のひとつになって活躍し、みんなと一緒に輝かないことには、学校全体がよくなっていきません。そのためには、リーダーの先見性や統率力も大事でしょう。また、保護者や地域の人たちに信頼され、支えてもらえる学校であることも最低条件です。

学校という「生物体」を構成する細胞は、教師と生徒です。多細胞生物である学校がその機能をしっかりと果たすためには何が必要か。

お互いの信頼関係、連携・・・。

単純なようで、実は見落としがちな「つながり」が、自ずと浮かび上がってくるような気がします。

安居 長敏(やすい ながとし)

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。

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