2011.04.01
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『まるごと教育2011』へ離陸!

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 今日から新年度がスタートしました。新しい出会いに感謝しながら、子どもたちとともに新しい1年を創っていきたいと思っています。

 さて、私は2005年から『まるごと教育』というものを展開しています。『まるごと教育』とは、私がつくった造語です。その『まるごと教育』の考え方については、いくつかの側面があるので、以下に紹介します。

(1)基本的な側面
 子ども(個)と子どもたち(集団)を分けて考えるのではなく、双方にアプローチし、常に個と集団の双方の成長を図るようなアプローチ(「たいようのアプローチ」=2日25日公開記事参照)をして、その関わりを図り、相乗効果で成長していくことを目指しています。

(2)「たいようのアプローチ」の側面
 個や集団に「たいようのアプローチ」(賞賛を主としたプラスの行動を促す言葉かけ)をする場合、その一部分の言動のみに着目しないことを原則とします。これまでは、短所(未習熟や苦手)を見つけて直すことに力を注いできました。しかし、子ども自身も自分なりに短所を自覚し、直そうとしていることが多いものです。それを指摘していい場合もありますが、逆効果のことも多いのです。
 そこで、子どもの生活行動全般を見通す中で、多くの長所に着目し(見つけてやり)、その行動性を評価・賞賛することで、子どものよい行動を促すようにしています。そうすることで、子どもは自ら長所を伸ばすとともに、短所をも直そうとする行動力を持たせようとするのです。
 つまり、「たいようのアプローチ」により、子ども自ら長所を伸ばすとともに、新たな長所を発見することで、短所を相対的に小さくしていくようにするのが、「まるごと教育」の「たいようのアプローチ」の側面なのです。同時に、子どもと子どもたちは、行動しようとする力も身につけていくことになるのです。

(3)教師の指導構想の側面
 『まるごと教育』の初期段階は、学級づくりと授業づくりを一体のものとしてとらえ、学級づくりの中で授業を考えるとともに、授業づくりの中に学級づくりの手法を取り入れ、子どもと子どもたちを学校の全教育活動の中で育てることでした。しかし、これだけでは育ちが不十分な状況が見られるようになってきました。そこで、昨年度は、家庭をも巻き込んだ『まるごと教育2010』に発展させました。
 また、教師の構えとして、1時間の授業だけから単元全体を見通すのは当然ですが、単元計画だけでなく教科全体を見通し、さらに学年全体の指導計画を見通すのです。また、その年間指導計画だけから、学級づくりの年間計画を見通すようにします。同時に、学年末の個のあり様(成長=あるべき姿)だけから、集団のあり様を見通し、それだけに止まらず、当該学年だけから、小学校全体の位置づけを見通し、さらに、「人格の完成」という視点から現在の子どもと子どもたちへの「たいようのアプローチ」のあり方を見通していくのです。

 『まるごと教育』は、「自己肯定感を高めるのが、まるごと教育」の真骨頂でもあります。『まるごと教育』で言う「自己肯定感が高まった状態」とは、自分のよさを知り(自己理解)、ありのままの自分を受け入れ自分のことが好きになること(自己受容)であり、他者から認められたり受け入れられたり(他者理解)、他者との関わりで自己反省(自己変容)をしたりした上で、自信が持てた時と考えています。
 ここでは、よいところだけでなく、よくないところも含め、ありのままの自分を受け入れることが必要なのです。よくないところとして、自分を中心にして物事を考え、他者を考慮することができない自己中心的な発達段階があります。子どもたちが成長する過程では、他者との関わりの中で、自分の欲求や興味が他者とは違うことを知り、自分を抑制するなどして自己反省することが大切です。人間として自立していくために必要な段階で、他者との関わりの中で、自己を他律的に変容(自己変容)させていく段階ととらえています。
 したがって、自分の中にあるよくないところについても知り、受け入れる中で、時に変容しなくてはならないと考えることは重要です。自己肯定感を持ち、高めていくために、他者との関わり、特に、友だちや担任など身内以外で、身近で受け入れられていると感じる他者から認められることが必要です。自分の存在が認められ、受け入れられている実感が持てた時、ありのままの自分を肯定的にとらえることができると考えました。
 さらに、自己肯定感が高まればよいのではなく、他者からの「たいようのアプローチ」も受けつつ、エンパワメントさせて、自ら伸びるための勇氣を発揮する言動をゴールとしてとらえているのです。

 以上の考えに基づいた「まるごと教育2010 自ら勇氣を発揮したくなる『まるごと教育』」は、終了しました。当該学年の目標を達成するだけでなく、教育に目的に向けて着実に歩みを進めることができた子どもたちが、私の元から巣立っていきました。

 新年度を迎え、私はこれまでの実践をさらに発展された『まるごと教育2011』に向けて離陸したいと思っています。

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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