2011.03.23
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滋賀学園教育の「根っこ」

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長 安居 長敏

 11日に起こった東日本大震災で東北と関東の一部が大変な状況に陥り、この原稿を書いている今日でちょうど1週間が過ぎました。その間、多くの方たちが救助・支援活動に従事して下さっています。テレビや新聞で報じられる被災地の現実に、あらためて人間のあたたかさと強さを感じ、胸が熱くなります。

 15日に行った本校(中学校)の卒業式でも、卒業生が入場した後、開式に先立ち全員で1分間の黙祷を行いました。被害を受けた方々に心よりお悔やみとお見舞いを申しあげるとともに、一日も早い復興を願っています。

 さて、明日19日は入学予定者のオリエンテーションが予定されています。午前中が高校、午後が中学で、来るべき新年度の学校生活を迎えるにあたって、学習面や生活面のエッセンスを生徒や保護者に伝えるとともに、制服の受け取りや証明写真の撮影、各種手続きが行われます。

 私自身は今年度、中高の入試広報と中学の教務を担当させてもらっていますので、明日は終日いろいろな形で関わることになります。なかでも、中学の部では管理職のあいさつの後、直接、子どもたちや保護者に対し、本校教育の「根っこ」の部分を私から語りかけようと思っています。

 以下、頭の中を整理する意味で、伝える内容をまとめてみました。

(1)みなさんはどういう気持ちで、滋賀学園中学校に来て下さったのか?
お父さんやお母さんは、「中高一貫校だから」「将来、よい大学に行かせたいから」「うちの子は友達づくりがあまりうまくないので」・・・。子どもたちは、これから始まる学校生活に「夢」と「期待」をもって・・・。いま、皆さんここにいてくださるのだと思います。私たちは、まず、それらの「想い」をじっくり聞かせていただくことから始めたいと思っています。

(2)中学時代は、自立への欲求が芽生える時期です
「自分のことは自分で決めていける人間になりたい」「もっと勉強ができる人間になりたい」・・・。そういった、子どもたち一人ひとりが持っている「成長への願い」を、保護者の皆さんと学校が一体となって、支え、応援し、導いていきたいと思っています。私たちは、どうすることが子どもたちの自立につながるのかを、常に考えて行動していきます。

(3)当たり前のことですが、人は一人では生きていけません
人間は、人との交わりや関わりの中で成長していきます。学校生活も、楽しいことばかりではありません。苦しいこともあるでしょう。そんな、喜怒哀楽の感情や気持ちの揺らぎがあって、ココロが育っていきます。相手を思いやる気持ちや感謝する気持ちは、まず自分を認めることから始まります。どうぞ、あるがままの自分を受け入れてください。私たちは、皆さんがお互いに関わり合える場をたくさん用意します。その中で、自分を認めてもらえたという経験を積み重ねていってください。そうすることで、自信を持って人と接していくことができ、安心して自分の考えを表現できるようになります。「あの人に認めてもらいたい」「あの人のように自分も頑張りたい」・・・。そういう皆さんの素直な気持ちを大事にしていきます。

(4)勉強することから逃げないでください
本来、学ぶことは楽しいものです。どの教科でも、みんなで賢くなる喜びをめざして授業を組み立てていきます。中高一貫校の特色を活かし、高校入試から開放された6年間を有効に使いながら、短期・長期の留学を取り入れたホップ、ステップ、ジャンプの3段階で学習を進めていきます。英語を学ぶなら滋賀学園という声をいただいていますが、中学になって本格的に学ぶ「英語」の成果は、先輩たちが実証済みです。

(5)自分の生活は世界とつながっています
テレビや新聞、インターネットの中は世界が舞台です。自分の家、町内、会社、日本・・・だけで物事が進まない時代になっています。東日本大震災の救援活動にも世界中から協力の手がさしのべられています。毎日の生活の中で、実感としてそういうことも学んでいってほしいと思います。

(6)本校の根っこは、これからの時代をたくましく生きていける人間づくりです
「ふつうでいい」と考える子ども(大人も?)が増えました。ふつうでいい、人並みで・・・と考えはじめると、人生の目的に意義を見出す意欲が失われていきます。夢を持って、前向きな姿勢で生きてこそ人の成長があります。私たちは、子どもたちの夢や希望を大きく育てていくのが仕事です。そのために、学校全体が高い理想を持ち、夢を失わないようにしています。

 最後に・・・、人と深く関わり合い、話し合い、つながりあうことで、身につく「自立心」。学力とともに、人として大切なことを日々の経験から学べる学校、それが滋賀学園です。

――以上、こんな感じでどうでしょう。

安居 長敏(やすい ながとし)

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。

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