2011.03.01
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北海道のある学校でのスキー学習(授業)(その2)

厚沢部町立厚沢部小学校 教頭 久慈 学

さて、スキー学習の続きである。
 どんなスポーツでもその要素はあるが、特にスキーの場合重要なのが用具である。ざっと挙げてみると、、、
 1 スキー板(+ビンディング)
 2 スキー靴
 3 ポール(ストック)
 4 手袋
 5 ゴーグル
 6 スキーウェア
 7 帽子
ざっと数えても、これだけある。この中でも特に高価なものは1、2、6であろう。さらにこの1、2、6に共通するのが、体の成長とともに買い換えなければならないという面がある。

 このことは、不況の続く北海道では保護者に相応の負担を強いることを意味する。それをカバーするために、本校では数年前から不要スキー用品を保護者・地域から集めて貸し出しするシステムを確立している。

 担当する分掌の教師の苦労は並大抵ではないが、それを面倒がる姿はない。まさに、児童みんなにスキーというスポーツのよさを味合わせたい、という気持ちがあるのだと思う。
 自分のスキーがない児童も貸し出し制度により、全員がほぼ自分にあった用具で学習に臨むことができる。

 用具がそろったら、次は場所(ゲレンデ)。前回も述べたが、幸いにも本校から徒歩10分の距離に、町民スキー場がある。そこをメインにしながら練習である。

 町民スキー場はロープトウ式のリフトがあり、それを活用すると滑走距離が飛躍的に伸びる。逆に言うとそのリフトを活用しないと、「登って、滑る」ため滑走距離は10分の1程度になってしまう。なぜこんなことを書いたかというと、ロープトウ式のリフトはなれるまでなかなか大変だからだ。このリフトに乗れなくてスキーが嫌いになる子もいるほどだ。

 今年度は、「全員がリフトに乗れるように!」を合言葉にがんばった。その成果もあり、1・2年生は100%、来年はどんどん練習できるだろう。

 特に今年度は初めての1年生のスキー学習に、たくさんの保護者の方々がボランティアについて下さった。もちろん教師も複数体制なので、まさに一人に一人?! なみの豪華な指導体制の日もある。

 スキーに限らないが、この「初めて」の時に、いかに楽しさを体感させるかが重要である。不自由なスキー靴を履き、吹雪く中をただスキーで歩くだけではもう次回からはいやになる。そこで少しでも「滑る」体験までもっていくことがポイントである。そのためにも、保護者ボランティアの存在は非常に大きい。

 さて、3年生以降になると技術も向上し、どんどん滑走スピードが増す。ここでも保護者ボランティアの力をお借りする。我々教師は「先生」と言えど、すべてがスキーに関して得手であるわけはない。

 そこで、上級のグループには堪能な保護者の方に御協力いただくわけである。保護者と書けば堅苦しいが要するにクラスメートの「◯◯くんのお父さん」だったり「◯◯さんのお母さん」だったりするわけだ。

 スキーを大の苦手としていたある子は、「◯◯ちゃんのお父さん」のマンツーマン指導のおかげで、「スキー大好き! 来年も◯◯ちゃんのお父さんに教えてもらいたい」というほどになってしまった。

 もちろん我々教師も、「お父さん」に負けないように指導力の向上を図らなければならないが、先生より教え方の上手? 優しい? お父さんがいてもいい(できることならスキーの場合だけが望ましい・・・)ですよね。

 スキー授業については語りだすと切りがない。

 次回は、スキー学習で見られた「保護者と学校のやさしい関係」ということでまとめます。

久慈 学(くじ まなぶ)

厚沢部町立厚沢部小学校 教頭
北海道で小学校教員、今年は教頭職三年目。ニューデリー日本人学校での経験を生かし、片田舎から世界を、世界から片田舎を見つめつつ発信したいと思います。

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