2011.02.25
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今、一番伸びる時

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 2月も下旬を迎えました。学年の修了まで1カ月となり、およその学習は終わり、6年生を送る会や卒業式といった年度末の行事の準備が行われていると思います。
この時期、子どもと子どもたちをどのようにとらえ、そして教師自身はどのようなことを心がけていったらよいのでしょうか。

これまでの私は、学習内容の復習をしつつ、年度末の行事を通して、子どもの心を育てられればよいと考えていました。しかし、最近は、それだけでよいのかと思うようになりました。
それは、子どもの力=考える力やいわゆる学力が付いてきている中、流れに任せる=受動的な指導だけでいいのかという疑問を抱いたからです。子どもの様子を見ていると、一生懸命に伸びようとしているのに、教師が決まっていることをがんばればいいんだよとセーブしているように感じるのです。

新年になり、「今年のめあて」を考えて書き、ポジティブに進級に向けて気持ちを新たにしました。そして、2月になり、「追い出したい鬼」を考え、心の鬼(自分自身の悪習慣)を追い出す方法を実行する努力をしています(写真)。3月が近づくにつれて、子どもも修了と進級を意識するようになります。どの子も言われなくても、「もっとよくならなければ」という気持ちが持てる時期です。
こうした、2月から3月にかけての時期は、子どもと子どもたちが1年のうちで、最も伸びる時期だと考えるようになりました。

確かに、自分で考え、行動しようとする様子が見られます。もちろん、そういう場面をとらえて、『たいようのアプローチ』をして、子どもが「自ら勇気を発揮したくなる」ような声かけをしています。
『たいようのアプローチ』とは、私が考えた言葉かけです。
「たすかるよ。」
「いっしょうけいめいさがいいね。」
「よくやってくれるね。」
「うれしいよ。」
で、教師の気持ちを伝えるアイ(I、愛)・メッセージです。

しかし、この『たいようのアプローチ』は、年間を通じて行っているものです。この時期になると、子どもどおしでも、家庭でもかけ合うようになっています。
ですから、加えて具体的な行動計画が立てられるように、「イメージを持ち、行動させる」ように仕掛けています。たとえば、私は2年担任ですので、
「2年生なら、それで合格です。でも、3年生だったら、どうすると思う。」
と問いかけます。子どもの意識も高まってきているこの時期ですから、子どもなりの考えを持てるようになっています。子どもの答えを聞いて、適切な助言をしつつ、『たいようのアプローチ』の言葉かけをしておきます。子どもは、期待以上のことをしてくれます。

また、学習でも3年生以上で習う漢字を使ったり、数や計算・図形でも既習学習をもとに、上学年の問題をやるようにします。もちろん、2年生の復習を兼ねながら、無理なく、意欲づけのために行います。すると、自主勉強をする子が増えるなどします。

当該学年で、1年近く学んできた子どもたちは、それぞれに育ってきています。力を付けてきているわけですから、ちょっとした働きかけ(支援)で、大きく伸びることができるのです。

今の育ちに満足せず、1年のうちで一番伸びる可能性を持ったこの時期に、上学年への期待を形にして、さらに大きく伸ばしたいと考えています。

 

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大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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