2011.02.24
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「大人が集まる動物園」

横浜市立永田台小学校 校長 ESD横浜代表 住田 昌治

大人が集まる動物園、北海道旭川にある旭山動物園に行ってきました。いったい何がよくて大人が集まるのか、一度この目で見てみたかったので、2月の3連休に極寒の旭川に向かいました。朝から日本のみならず他国からもたくさんの人が集まっていました。

動物園には子どもの頃はよく行きましたが、ゾウやキリン、ライオンや虎を見ては驚き、その大きさにビックリしたものです。子どものための動物園だったような気がします。子どもだったからそう思ったのかもしれませんが。上野動物園にパンダが来た時には、長時間並んだ末に、ほんのちょっとしか見えなかったことを覚えています。そんな思い出はあるのですが、まさかこの年になって動物園へ、しかも真冬の旭川に行くなんて考えてもみませんでした。冬にもペンギンの行進を見るために行く人は多いそうですが、それにしてもなぜ大人がそんなに集まるのでしょうか。そんな思いを抱きながら、旭山動物園を訪れました。そして、私なりにその理由が分かりました。

ここには、大人が子どもになる仕掛けがあるのです。ワクワク感を生み出すものがあるのです。それは、多角的な視点です。大人になるにつれて培われてしまった画一的な視点からの解放です。動物を上に見たり、下に見たり、横に見たり、直近で見たり、柵なしで見たり…見方が違うとこうも違うのかという気づきを与えてくれるのです。こういう見せ方もあるのかと感心させられます。動物よりも人を見ているような場面もありますが、いろいろな方向から見ることで、新しい気づきがあることを改めて実感することができます。

環境問題や自然環境について考えるとき、どうしても人間の側から考えてしまいます。見方も人間の目線で見てしまいます。それでいい環境だと考えても、生き物の方からしてみると、果たしてそれが本当にいい環境なのか疑ってみる必要があると思います。迷惑だったり、生きにくかったりするのかもしれません。また、こういう見方を学校では子どもの見方に取り入れなければならないでしょう。もちろん教育にも当てはまることです。多面的、総合的、関連的に物事を見ることは、新指導要領の主旨にも通じるところです。

今月、新たに中国から上野動物園に友好の使者パンダが到着しました。また、並んで見に行く人たちがたくさんいることでしょう。ここでも、少し見方を変えてみるといいかもしれません。

住田 昌治(すみだ まさはる)

横浜市立永田台小学校 校長 ESD横浜代表
学校の持続可能性を求めて、日々挑戦しています。これから日本版ESDスクールのデザインを描き、実現していきます。皆さん一緒に考えていきましょう。

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