5年生は算数で、「角柱と円柱」の学習をしました。
先日、導入の授業で、立体を学ぶことへの動機付けをしようと、円錐の展開図を想像させてみました。教科書の内容からは外れますが、ちょっと高度な問題に挑戦させたのです。
子供たちは塾などの学習によって、予備知識をもって授業に参加していることが多いため、時には単なる知識だけでは通用しないような課題を与えることも大切だと考えます。
例えば、ひとつ前の単元で円周の学習をした際には、実際に円をかいて円周を求めるようにという課題を出しました。
子供たちは「円周=直径×円周率」という公式を聞きかじっていたのですが、その公式がなぜ成立するのかを考えつくのに、時間がかかりました。中には、「これまでで一番むずかしい問題だ~!」と声を上げて、必死で考え込む姿も見られました。
このように、既に学んだ知識を総動員して考えることは、とても貴重な経験だと思います。実際に、子供たちの学習意欲は高まっているように感じますし、算数に対して苦手意識のある子供たちにも、最後までやり抜く根気が身についてきているようです。
さて、話を円錐に戻します。展開図を想像した子供たちは、それを黒板にかいてみようということになりました。10人くらいの子供たちが、意気揚々とかいてくれました。黒板には、たくさんの蓮の葉の形に似た、扇形が並びました。
これでは円錐にはならないだろうなと思いましたが、正解を示すのはやめて、実際に円錐を作ってみるように話しました。そして試行錯誤の末、やっとできあがった円錐を切り開き、展開図を確認しました。意外な形に、驚いている子供たちもいました。
次に円柱の展開図に挑戦させました。しかし、これにも時間がかかり、苦戦している様子がうかがえました。
さらに、別の時間には立体の折り紙を教えたのですが、その時も、完成させるのに苦労していました。
ところで、このような立体に対するイメージの乏しさは、どこからくるのでしょうか。私は常々、遊びの中での体験や経験の不足が原因ではないかと考えています。
幼児期に、折り紙を折ったり、空き箱やトイレットペーパーの芯などを使って遊んだりする経験が、少なくなってきているのではないでしょうか。
小学校でも、図工や生活科といった決められたカリキュラムの中でしか、物を作って遊ぶ機会はありません。
休み時間であっても、校庭でボール遊びをしているか、教室で本を読んでいるかですし、せいぜいおしゃべりを楽しんでいる姿しか見かけないのです。
子供たちが友達と一緒に下校しながら、放課後の約束を交わしているのを目にしますが、DSなどのゲーム機を持ち寄ろうと話していることが多いようです。ゲームで遊ぶことが当たり前の時代になって、遊びの質が変わったのだと思います。
立体の学習に限らず、体験や経験から学ぶことは重要です。夢中になって物を作ることに没頭したり、友達と一緒に関わりながら遊んだりすることによって、ゲームからは得られない、多くの知識やイメージを獲得できるのです。
これからも、知識を与えるだけの授業ではなく、実際にやったり作ったりする学習を通して、自ら学び取っていけるような工夫をしていきたいと思っています。
先日、導入の授業で、立体を学ぶことへの動機付けをしようと、円錐の展開図を想像させてみました。教科書の内容からは外れますが、ちょっと高度な問題に挑戦させたのです。
子供たちは塾などの学習によって、予備知識をもって授業に参加していることが多いため、時には単なる知識だけでは通用しないような課題を与えることも大切だと考えます。
例えば、ひとつ前の単元で円周の学習をした際には、実際に円をかいて円周を求めるようにという課題を出しました。
子供たちは「円周=直径×円周率」という公式を聞きかじっていたのですが、その公式がなぜ成立するのかを考えつくのに、時間がかかりました。中には、「これまでで一番むずかしい問題だ~!」と声を上げて、必死で考え込む姿も見られました。
このように、既に学んだ知識を総動員して考えることは、とても貴重な経験だと思います。実際に、子供たちの学習意欲は高まっているように感じますし、算数に対して苦手意識のある子供たちにも、最後までやり抜く根気が身についてきているようです。
さて、話を円錐に戻します。展開図を想像した子供たちは、それを黒板にかいてみようということになりました。10人くらいの子供たちが、意気揚々とかいてくれました。黒板には、たくさんの蓮の葉の形に似た、扇形が並びました。
これでは円錐にはならないだろうなと思いましたが、正解を示すのはやめて、実際に円錐を作ってみるように話しました。そして試行錯誤の末、やっとできあがった円錐を切り開き、展開図を確認しました。意外な形に、驚いている子供たちもいました。
次に円柱の展開図に挑戦させました。しかし、これにも時間がかかり、苦戦している様子がうかがえました。
さらに、別の時間には立体の折り紙を教えたのですが、その時も、完成させるのに苦労していました。
ところで、このような立体に対するイメージの乏しさは、どこからくるのでしょうか。私は常々、遊びの中での体験や経験の不足が原因ではないかと考えています。
幼児期に、折り紙を折ったり、空き箱やトイレットペーパーの芯などを使って遊んだりする経験が、少なくなってきているのではないでしょうか。
小学校でも、図工や生活科といった決められたカリキュラムの中でしか、物を作って遊ぶ機会はありません。
休み時間であっても、校庭でボール遊びをしているか、教室で本を読んでいるかですし、せいぜいおしゃべりを楽しんでいる姿しか見かけないのです。
子供たちが友達と一緒に下校しながら、放課後の約束を交わしているのを目にしますが、DSなどのゲーム機を持ち寄ろうと話していることが多いようです。ゲームで遊ぶことが当たり前の時代になって、遊びの質が変わったのだと思います。
立体の学習に限らず、体験や経験から学ぶことは重要です。夢中になって物を作ることに没頭したり、友達と一緒に関わりながら遊んだりすることによって、ゲームからは得られない、多くの知識やイメージを獲得できるのです。
これからも、知識を与えるだけの授業ではなく、実際にやったり作ったりする学習を通して、自ら学び取っていけるような工夫をしていきたいと思っています。

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)
特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com
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