2011.02.08
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

子ども祭

特定非営利活動法人TISEC 理事 荒畑 美貴子

 先日、学校をあげての「子ども祭」が行われました。「特別活動」の取り組みのひとつで、子供たちが主体的に考えてお店を開き、 お店屋さんになったりお客さんになったりして、遊びを楽しむ行事です。

 学習指導要領の「特別活動」の目標には、「望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図るとともに,集団の一員としての自覚を深め,協力してよりよい生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる」とありますから、「子ども祭」はこの目標を達成させるためにも、非常に大事な活動であると言えます。

 さて、本校の6年生は、体育館を使ったお化け屋敷をするのが恒例で、1年生から5年生までを十分にドキドキさせてくれました。中には真っ暗な体育館に入っただけで泣いてしまう1年生もおり、そのような時は、お化け役の6年生が手を引いて出口まで連れて行ってくれたそうで、最高学年の優しさを感じました。

 お化け屋敷に次いで人気があったのは、「ウォンテッド」です。変装した友達を、校内を歩きながら探し、見つけたらカードにスタンプをもらってくるという遊びです。今回、隣のクラスの5年生が行い、とても好評でした。


 うちのクラスは、「割りばし村」を開きました。

 遊びは二種類。

 ひとつは、5センチメートル四方くらいに切った紙を高い場所から落とし、それを割りばしで、紙が床に落ちてしまう前に掴み取る遊びです。紙を数種類用意し、難易度に応じて点数を変えました。例えば、ティッシュペーパーは比較的掴みやすいのですが、金銀の色紙は掴みにくいので、点数も加算されるようにしたのです。

 もうひとつは、お皿に入れた大豆を、隣のお皿に割りばしで摘まんで移す遊びです。30粒の大豆を、1分間でいくつ移せるかを競いました。

 いずれも簡単な遊びですが、リハーサルを重ねて、たくさんのことを確認して行いました。

 遊びを計画するにあたって一番気を遣ったのは、安全面への配慮でした。低学年の子供たちが遊んだ場合、割りばしで友達をつついて、怪我をさせるのではないかという心配があったからです。

 また、景品作りにも苦労がありました。子供たちは、参加賞として栞を、点数に応じて割りばし鉄砲やフェルトの小物をプレゼントすることに決めたので、栞は少なくとも300枚、割りばし鉄砲なども多数用意する必要がありました。

 いずれも制作に時間のかかる景品だったので、休み時間を利用して作ったり、時には家に材料を持ち帰って作ったりと、子供たちは精一杯頑張ってくれました。
 
 当日は、一人一人が十分に役割を果たし、たくさんのお客さんに楽しんでいただけたことと思います。


 さて、学力低下が問題視され、授業時数の確保や学力向上が叫ばれる昨今ですが、このような行事は、子供たちの成長に欠かせないものであると考えます。

 全体の活動内容を確認して共通理解する、その上で自分自身に任せられた仕事をやり抜くといった活動は、教科等の学習だけで体験しきれるものではないからです。社会で働くことの疑似体験をする価値は、とても大きいと思います。

 ひとつひとつの行事を意義あるものにするために、教員の目的意識を明確にして、これからも子供たちと共に頑張っていきたいと思っています。

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)

特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com

同じテーマの執筆者
  • 松井 恵子

    兵庫県公立小学校勤務

  • 松森 靖行

    大阪府公立小学校教諭

  • 鈴木 邦明

    帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

  • 髙橋 三郎

    福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop