久米島は、沖縄本島から西に約90kmにある沖縄県では5番目に大きな島です。私の憧れの島の一つである久米島に、昨年末に行ってくることができました。
憧れていたわけは、久米島の周りを取り囲んでいる美しい海岸線やサンゴ礁ではありません。久米島のホタルが見たかったのです。
日本には50種類ほどのホタルがいて、沖縄本島には8種類が見られます。久米島は沖縄島の20分の1の面積しかないのに、7種類のホタルが生息しているのです。さらに、そのうちの4種類は久米島の固有種で、そのうちのひとつで1993年に発見された「クメジマボタル」は、ゲンジボタル、ヘイケボタルに並ぶ幼虫が水生のホタルとして、沖縄県の天然記念物にもなっているのです。ですから、久米島はホタルの島と言っていいくらいなのです。
今回は、そのようなホタルを見ることを目的に久米島に行ったのでした。しかし、現地ではホタルだけでなく、ホタルとともに生きる多くの生き物の存在に光を当て、人と自然の関係について考えることを目的につくられた「久米島ホタル館」(写真 上)などで様々なことを勉強してきました。
その「久米島ホタル館」では、佐藤文保館長から久米島のホタル、生物、自然、文化についてのレクチャーをしていただきました。そのおかげで、久米島の自然だけでなく、歴史や文化のことまでもよくわかりました。その後、久米島の各地を周回しましたが、お話のおかげでさらに理解することができました。
一方、久米島のホタルについては、幼虫期であるために、成虫やその光を見ることはできませんでした。ただ、ホタルを出発点に学びが拡がり、久米島の在り方まで考えることができました。
久米島は、現在、観光産業とサトウキビ栽培、そして、海洋深層水の活用で成り立っていると言ってよいのだそうです。
観光産業は、東洋一の美しさと言われる「はての浜」(写真 中)や、日本の渚百選に選ばれたイーフビーチなどの海岸線とサンゴ礁の観光が中心となります。特に、砂浜だけの無人島「はての浜」は、久米島の沖合7kmに横たわる砂州で、全長7~11kmにおよび、沖縄のビーチ人気ランキングでは常に上位に入り、360°エメラルドグリーン海と真っ白な砂浜が美しく、南国らしさを醸し出しています。
一方、農産物としては、戦後、植えられたサトウキビが多く、現在では「サトウキビを植えよう」と島全体でサトウキビ栽培を推奨しているそうです。ですから、サトウキビ畑から海が見えたり、南風が吹くとザワザワとサトウキビが揺れる音がしたりして、サトウキビの島と言っていいほどになっていました。冬のこの時期は、サトウキビの収穫シーズンであり、刈り取ったサトウキビを満載したトラックが頻繁に行き来しています。島の製糖工場(写真 下)は、フル稼働だそうです。
こうした伝統とも言うことのできる観光や農産物に加えて、生産額ではサトウキビを上回るものがあるそうです。それが、海洋深層水関連産業なのです。
海洋深層水とは、太陽の光が届かない(無光層)、水深200m以深の海水の総称で、光が届かないため植物プランクトンの光合成ができず、窒素などの栄養塩類が豊富に含まれています。また、深海のため水温が低い(水温躍層)ため、細菌も非常に少ないきれいな海水で、約2000年の時をかけて地球の深海を循環し熟成され、多くのミネラル成分を含んでいるのだそうです。
久米島の海洋深層水は、水深612mと日本一深いところから汲み上げており、飲料用のほか多目的の利用・研究開発が行われています。硬度の異なる飲料水の他に、塩や化粧品、海洋深層水で養殖した海ぶどうや海草などの商品が販売されています。
久米島滞在の最終日に、ウミガメが産卵する浜として知られるアーラ浜で、沈む夕日を見ながら、様々な今昔を考えていました。
自然観光資源は不易、海洋深層水産業は流行と言えましょう。そのバランスをとった在り方をみんなで考えていくことが、久米島の発展につながるのではないでしょうか。「不易と流行のバランスを、みんなで考える」ことは、教育においても言えることだと思います。『バランス』と『みんな』という2つのキーワードを改めて考えさせられました。
久米島は、古くから琉球の粋を集めた美しき島「珠美(くみ)」と言われてきました。珠美=くみ=組(クラス)に通じますので、年度末の学級の子どもたちを美しく輝かせて、次の学年に大きくジャンプさせたいと強く思いました。
憧れていたわけは、久米島の周りを取り囲んでいる美しい海岸線やサンゴ礁ではありません。久米島のホタルが見たかったのです。
日本には50種類ほどのホタルがいて、沖縄本島には8種類が見られます。久米島は沖縄島の20分の1の面積しかないのに、7種類のホタルが生息しているのです。さらに、そのうちの4種類は久米島の固有種で、そのうちのひとつで1993年に発見された「クメジマボタル」は、ゲンジボタル、ヘイケボタルに並ぶ幼虫が水生のホタルとして、沖縄県の天然記念物にもなっているのです。ですから、久米島はホタルの島と言っていいくらいなのです。
今回は、そのようなホタルを見ることを目的に久米島に行ったのでした。しかし、現地ではホタルだけでなく、ホタルとともに生きる多くの生き物の存在に光を当て、人と自然の関係について考えることを目的につくられた「久米島ホタル館」(写真 上)などで様々なことを勉強してきました。
その「久米島ホタル館」では、佐藤文保館長から久米島のホタル、生物、自然、文化についてのレクチャーをしていただきました。そのおかげで、久米島の自然だけでなく、歴史や文化のことまでもよくわかりました。その後、久米島の各地を周回しましたが、お話のおかげでさらに理解することができました。
一方、久米島のホタルについては、幼虫期であるために、成虫やその光を見ることはできませんでした。ただ、ホタルを出発点に学びが拡がり、久米島の在り方まで考えることができました。
久米島は、現在、観光産業とサトウキビ栽培、そして、海洋深層水の活用で成り立っていると言ってよいのだそうです。
観光産業は、東洋一の美しさと言われる「はての浜」(写真 中)や、日本の渚百選に選ばれたイーフビーチなどの海岸線とサンゴ礁の観光が中心となります。特に、砂浜だけの無人島「はての浜」は、久米島の沖合7kmに横たわる砂州で、全長7~11kmにおよび、沖縄のビーチ人気ランキングでは常に上位に入り、360°エメラルドグリーン海と真っ白な砂浜が美しく、南国らしさを醸し出しています。
一方、農産物としては、戦後、植えられたサトウキビが多く、現在では「サトウキビを植えよう」と島全体でサトウキビ栽培を推奨しているそうです。ですから、サトウキビ畑から海が見えたり、南風が吹くとザワザワとサトウキビが揺れる音がしたりして、サトウキビの島と言っていいほどになっていました。冬のこの時期は、サトウキビの収穫シーズンであり、刈り取ったサトウキビを満載したトラックが頻繁に行き来しています。島の製糖工場(写真 下)は、フル稼働だそうです。
こうした伝統とも言うことのできる観光や農産物に加えて、生産額ではサトウキビを上回るものがあるそうです。それが、海洋深層水関連産業なのです。
海洋深層水とは、太陽の光が届かない(無光層)、水深200m以深の海水の総称で、光が届かないため植物プランクトンの光合成ができず、窒素などの栄養塩類が豊富に含まれています。また、深海のため水温が低い(水温躍層)ため、細菌も非常に少ないきれいな海水で、約2000年の時をかけて地球の深海を循環し熟成され、多くのミネラル成分を含んでいるのだそうです。
久米島の海洋深層水は、水深612mと日本一深いところから汲み上げており、飲料用のほか多目的の利用・研究開発が行われています。硬度の異なる飲料水の他に、塩や化粧品、海洋深層水で養殖した海ぶどうや海草などの商品が販売されています。
久米島滞在の最終日に、ウミガメが産卵する浜として知られるアーラ浜で、沈む夕日を見ながら、様々な今昔を考えていました。
自然観光資源は不易、海洋深層水産業は流行と言えましょう。そのバランスをとった在り方をみんなで考えていくことが、久米島の発展につながるのではないでしょうか。「不易と流行のバランスを、みんなで考える」ことは、教育においても言えることだと思います。『バランス』と『みんな』という2つのキーワードを改めて考えさせられました。
久米島は、古くから琉球の粋を集めた美しき島「珠美(くみ)」と言われてきました。珠美=くみ=組(クラス)に通じますので、年度末の学級の子どもたちを美しく輝かせて、次の学年に大きくジャンプさせたいと強く思いました。
大谷 雅昭(おおたに まさあき)
群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。
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