(2)展開 ・・・続き
さて、篠原選手のインタビューである。私の記憶では、試合後のまだ汗の吹き出す中のインタビューだったような気がするが、残念ながらこの映像は手に入らなかった。(放送局関係の方、もし可能ならお願いいたします)
「さあ、篠原選手は・・・」
と子どもたちの前で、巻紙を見せた。演出である。この巻紙の中に篠原選手の言葉が書いてある。子どもたちの視線を感じながら、ゆっくりと紙を黒板におしつけつつ広げていく。そこに、書かれていたのは・・・
自分が弱いから、負けました
であった。ある女子は、小さい声で「自分が弱いからまけました」と読んでから
「えーっ。何でー? 審判のせいでしょ!」
と思わず叫んでいる。
さすがにこの言葉「自分が弱いから」は、響いたようだ。私自身この道徳授業で、ある特定の「価値項目(道徳学習ではこういう言葉を使います)」をつかませようと意図していなかったこともあり、そのあとは子どもたちにじっくり感じてもらうだけにした。
あえて言えるとしたら、ここで静かになっている子どもたちの姿そのものが、本時のねらい。この言葉を振り絞った篠原選手に「何か」を感じてもらえたら、授業は自分としてはまる」をあげたい。
(3)終末「今日の道徳で、思ったこと感じたこと、ふだんの自分についてなど、書きましょう」
子どもたちの実際の文章を紹介して終わる。
男子A「自分だったら、負けてスネていたかも知れない。」
男子B「全体的にいい戦いだった。ドイエはずるいと思ったけど、しのはら選手の言葉に感動した。」
男子C「しのはら選手もドイエ選手にもいい選手だった。」
男子D「自分もこういうことがあったら、ドイエ選手みたいに友人になりたい。しのはら選手はがんばったと思います。」
男子E「どちらの選手も相手をそんけいしあい、友人になれて良かった。」
男子F「じゅうどうのことを知って勉強になったし、しのはら選手の言葉もすごくよかったです。」
女子A「しのはらさんが負けて、ちょっとかわいそうだった」
女子B「自分が弱いから負けた、といったことがすごくえらい!!と思いました。感動しました。」
女子C「しのはら選手のインタビューのコメントがすごくかっこよかった。」
女子D「自分は負けた時、いらいらしたりするけど、しのはら選手は自分が弱いから、と認めていたからすごい。」
女子E「自分はいつも、くやしい、と思うことはあまりないけど、ビデオではほんの少し悔しかったです。」(普段から争いごとなく非常に穏やかな女子です)
女子F「しのはら選手の、『自分が弱いから』がありえませんでした。」(本文中のある女子)
以上である。篠原選手の言葉の凄さにまで言及できたのが6名。二人の友情に感動したのが3名、あとは「くやしかった」という感想が多かった。(「教頭先生との道徳が面白い」というお世辞も2名・・・)
本時の授業が即効性があり、子どもたちが次の日から急に変わる、ということはない。しかし、何かしらの種を蒔くことができたのではないかと感じている。
これから先は、若き5年生担任教師が子どもたちと触れ合いながら、彼らの心に水や肥料、そして日光を与えて育んでほしい。
(写真は本校の3学期、スキー授業の様子です。子どもたちはスキーが大好きです。)
さて、篠原選手のインタビューである。私の記憶では、試合後のまだ汗の吹き出す中のインタビューだったような気がするが、残念ながらこの映像は手に入らなかった。(放送局関係の方、もし可能ならお願いいたします)
「さあ、篠原選手は・・・」
と子どもたちの前で、巻紙を見せた。演出である。この巻紙の中に篠原選手の言葉が書いてある。子どもたちの視線を感じながら、ゆっくりと紙を黒板におしつけつつ広げていく。そこに、書かれていたのは・・・
自分が弱いから、負けました
であった。ある女子は、小さい声で「自分が弱いからまけました」と読んでから
「えーっ。何でー? 審判のせいでしょ!」
と思わず叫んでいる。
さすがにこの言葉「自分が弱いから」は、響いたようだ。私自身この道徳授業で、ある特定の「価値項目(道徳学習ではこういう言葉を使います)」をつかませようと意図していなかったこともあり、そのあとは子どもたちにじっくり感じてもらうだけにした。
あえて言えるとしたら、ここで静かになっている子どもたちの姿そのものが、本時のねらい。この言葉を振り絞った篠原選手に「何か」を感じてもらえたら、授業は自分としてはまる」をあげたい。
(3)終末「今日の道徳で、思ったこと感じたこと、ふだんの自分についてなど、書きましょう」
子どもたちの実際の文章を紹介して終わる。
男子A「自分だったら、負けてスネていたかも知れない。」
男子B「全体的にいい戦いだった。ドイエはずるいと思ったけど、しのはら選手の言葉に感動した。」
男子C「しのはら選手もドイエ選手にもいい選手だった。」
男子D「自分もこういうことがあったら、ドイエ選手みたいに友人になりたい。しのはら選手はがんばったと思います。」
男子E「どちらの選手も相手をそんけいしあい、友人になれて良かった。」
男子F「じゅうどうのことを知って勉強になったし、しのはら選手の言葉もすごくよかったです。」
女子A「しのはらさんが負けて、ちょっとかわいそうだった」
女子B「自分が弱いから負けた、といったことがすごくえらい!!と思いました。感動しました。」
女子C「しのはら選手のインタビューのコメントがすごくかっこよかった。」
女子D「自分は負けた時、いらいらしたりするけど、しのはら選手は自分が弱いから、と認めていたからすごい。」
女子E「自分はいつも、くやしい、と思うことはあまりないけど、ビデオではほんの少し悔しかったです。」(普段から争いごとなく非常に穏やかな女子です)
女子F「しのはら選手の、『自分が弱いから』がありえませんでした。」(本文中のある女子)
以上である。篠原選手の言葉の凄さにまで言及できたのが6名。二人の友情に感動したのが3名、あとは「くやしかった」という感想が多かった。(「教頭先生との道徳が面白い」というお世辞も2名・・・)
本時の授業が即効性があり、子どもたちが次の日から急に変わる、ということはない。しかし、何かしらの種を蒔くことができたのではないかと感じている。
これから先は、若き5年生担任教師が子どもたちと触れ合いながら、彼らの心に水や肥料、そして日光を与えて育んでほしい。
(写真は本校の3学期、スキー授業の様子です。子どもたちはスキーが大好きです。)



久慈 学(くじ まなぶ)
厚沢部町立厚沢部小学校 教頭
北海道で小学校教員、今年は教頭職三年目。ニューデリー日本人学校での経験を生かし、片田舎から世界を、世界から片田舎を見つめつつ発信したいと思います。
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