2011.01.13
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ESDはドラマティックな日常

横浜市立永田台小学校 校長 ESD横浜代表 住田 昌治

 総合的な取組であるESDだから、学校の教育活動全体を通して推進することが重要です。そういう全体的な見方をしていくことが、つながりを見えやすくします。

 学校で行われる全ての教育活動は、学校教育目標の実現を目指して行われます。本校の学校教育目標は、『一人一人が輝く永田台』です。「輝く」とは、子どもが主役であり、自信を持って活動している姿を求めているということです。子どもが、いろいろな場面で日々輝くために、教師はいろいろ工夫しながら教育活動を行っているのです。その姿は、つながりを視点として見てみると見えてきます。

 学校教育は、「人づくり」から、その中でもとりわけ「心」の醸成について重きを置いています。自分さえよければという自己中心的な考えが蔓延する今、地域や家庭で道徳心を育むことが難しくなっています。学校では、協力すること・一生懸命やること・ あきらめず粘り強く取り組むことの大切さを学ばせたいと考えています。そうすること によって、達成感を得た子どもは自信をつけます。そして、自己肯定感をもって次の活動へと意欲をもつようになります。この自己肯定感こそが、未来をつくる意志となるのです。自己肯定感は、受容・仲間作り・心の安定・自主性・夢を描く気持ちを育てます。

 日々の教育活動の積み重ねが、学校行事の場で広く公開されます。そこには、保護者、 地域他、多くの関係者が子どもたちの活躍を楽しみにして集います。まさに輝く場です。 その日に向けて、子どもも教職員も手伝いの保護者もより多くのエネルギーを注ぎます。 そして、当日、子どもたちは練習の成果を発揮し、素晴らしい姿を示します。きらきら 輝く場をたくさん見せてくれます。見ている人が笑顔になり、一生懸命さや立派さに感動し、涙を見せる人もいます。さらに、子どもたちが多くの人から得た賞賛という評価は、学校生活を大きく変える原動力にもなり得ます。

 行事を発表の場として外部の人は見ます。しかし、本質を見るためには、行事をつくるために、何をやったかと言うことではなく、どのようにやったかということに着目していただきたいと思います。教師は、どんな思いで指導したか、子どもはどんな姿を示したか、その後の学校生活にどのように波及したかということが、大切な視点となります。

 今、いかにして意識を変えていくのかが関心事になっているわけですが、学校でやるべきことは、ハード面としての環境(場)作り、ソフト面としての人(心)づくりです。

 どんな場で、どんな心を育てるのか明確にし、学校のあるべき姿のデザインを描き、エッセンスを埋め込んでいく教育を推進していくチャンスの時です。

 学校及び地域をESD色に染めていくことで、持続可能な社会を実現していきましょう。

 そのためには、やっぱり日常。ドラマチックな日常です。子どもが示す日常の姿を対象として語ること。日々日常の姿で子どもの育ちを見て、自己肯定感を実感させ、希望や夢をもって持続可能な社会の担い手を育むために教師が語り合うことです。
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住田 昌治(すみだ まさはる)

横浜市立永田台小学校 校長 ESD横浜代表
学校の持続可能性を求めて、日々挑戦しています。これから日本版ESDスクールのデザインを描き、実現していきます。皆さん一緒に考えていきましょう。

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