2011.01.06
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その一言が子どもの良さを伸ばす  “才能教育のすすめ”

栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭 鷺嶋 優一

あけましておめでとうございます。
2011年 兎年 
皆様にとって大きな飛躍の年でありますように

 年頭にあたり、話題としたいことは「才能教育」です。
 才能と聞くと、どうも一部の素質のある優れた人々のための言葉のように聞こえるかもしれません。確かにそのようなとらえ方もできますが、ここで私の言う才能とは、「すべての人(子ども)に才能はある」という考え方です。
そして才能教育とは
「すべての児童生徒の何らかの才能に公正に応じる教育」です。
(『才能と教育』岩永雅也・松村暢隆、放送大学教育振興会)

 特に教師はその立場において、子どもに発する言葉に大きな影響を与えています。教師のその子への見方やその子に投げかける言葉が、その子の一生を左右することも大いにあり得るのです。そのことを道徳の副読本の一節から見てみましょう。

 まずは、手塚治虫さんから

「一度など、職員室で、竹刀でぶたれたこともあります。戦時中にマンガをかくとは何事か、というのです。そんなとき、力になってくれたのが美術の先生でした。『手塚は、これが才能なんだから。』と、ほかの先生を前に職員室で熱弁をふるってくれたこともあります。」
(文溪堂『5年生の道徳“マンガ家になろう”』より)

 続いて、大山のぶ代さん

「先生は、なにかにつけて、『はい、大山のぶ代ちゃん、何かうたってください。』と、よくわたしに歌をうたわせてくれた。わたしが、声のことでひがんだり、男の子にいじめられたりしないですんだのは、先生のこうしたあたたかい心づかいがあったからだと思っている。」
(学研『みんなのどうとく“ドラえもんの声“』より)

 このお二人には、天性の才能があったという見方もあるでしょう。でも認めてくれる先生方の存在がなければその才能は埋もれてしまったかもしれません。

 転じて現在、学生の就職は超氷河期、いじめ・不登校、心身のトラブルを抱える子どもの増加など、問題が山積する混迷の時代です。でもそんな時代こそ、私たち教育に携わる者は教育の原点、不易といわれる部分に戻って考え直す必要があります。
 またそのためにも、一部の狭い範囲で物事を考えるのではなく、幅広く多面的な子どもの見方ができるよう、研究と修養に努めなければならないと考えます。そのことが子どもの才能を発見し、才能を芽吹かせ、開花させることにつながるのです。

 すべての子どもには才能がある。
 一人でも多くの子どもの、一つでも多くの才能を発見していきましょう。
 今年もよろしくお願いします。

鷺嶋 優一(さぎしま ゆういち)

栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭
この春、勤務校が変わりました。異動したての新鮮な気持ちをダイレクトにつづりたいと思います。そして「ICTと幸せ」についても小学校教育の視点から考えます。

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