2011.01.07
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言葉は困らないと覚えない

埼玉県朝霞市立朝霞第十小学校 教諭 北川 誠

今から15年前。私は埼玉県教員の海外派遣事業に選ばれ、英国の学校事情を視察していた。そして宿泊したロンドンのホテルをチェックアウトしようと出発の準備をしたいたが、着用するスーツの洗濯を前夜ホテルのクリーニングサービスにを頼んでいたことを思い出し、ルームサービスに持ってきてもらった。しかしそれは自分のスーツではなかったのである。「This is not my suit.」と言ったまではよかったのだが、代わりに持ってくるスーツが全部自分のものではない。「襟のところが…」とか「ボタンのところが…」英語で何というのだろう? 仕方がないから身振り手振りありったけの英単語や日本語を汗だくで並べて何とか間に合わせた次第である。ヾ(;´Д`●)ノぁゎゎ
 
 そのときに思った。当時小学校の授業で英語を取り入れようという動きがあるが、たぶん、こういった背景があるからだな。私は中学・高校・大学と英語を勉強したにもかかわらずこんな基本的な英会話ができない、しゃべれないことへの反省があるのだな。

 もう一つ思った。このようなときは日本語でもいいから大きな声で主張した方がいい。そうしないと、何を考えているのか相手に伝わらない。コミュニケーションで大切なことは、こちらの気持ちを伝えることである。善意の気持ちさえ伝われば、言葉の違いなんてたいした問題ではないのでは。

矛盾しているように思えるかもしれないが、これは私が体験したまぎれもない実感である。

 あれから月日がたち、いよいよ小学校でも英語の授業が始まっている。しかし当初の目論見通り大人が英会話教室に通うのとは違うコミュニケーションの道具としての英語を身につける授業がされているか、十分な効果が上がっているかは正直言って私はさらに改善の余地があり試行錯誤が必要ではないかと思うのである。たとえば、英語しか話さない外国人の子どもたちを連れてきて、日本人の子どもたちと一緒に遊ばせてみる。そんな困った状況の中で子どもたちがどんな風にコミュニケーションをとっていくか、そんな子どもの柔軟性を生かしたやり方が必要なのではないかとも思う。小学校の段階での言語教育は、コミュニケーションの本質をもっと教えるべきではないだろうか。

北川 誠(きたがわ まこと)

埼玉県朝霞市立朝霞第十小学校 教諭
「駄洒落」を立派な日本の文化・言葉の見立てと考え、子どもたちからは「先生 寒~い」と言われてもめげず連発してます。モットーは「花には水を人にはユーモアを」。

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