2010.12.24
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A君へのエール 「生まれた時代が悪かっただけ」なのか?

埼玉県朝霞市立朝霞第十小学校 教諭 北川 誠

今年もあと1週間。
 12月某日、ちょうど20年前に2年間担任し、卒業させた今年32歳になる教え子たち数人と飲む機会があった。たまたまこのサイトの私の記事を見た子がいて、声をかけてくれたのである。懐かしい顔が揃い宴たけなわ、話が進んでくるとその中の一人A君が耐えられなくなったのだろうか意外な言葉を発したのである。
「先生。僕たち生まれた時代が悪かったのでしょうか、最近むなしくて。」

 彼は大学を卒業後、順調に就職し、同じ会社に7年勤めたが、上司のパワハラで同僚が一気に辞めてしまい仕事量が激増。心身ともにおかしくなり、鬱とパニック障害を併発して、わけのわからないまま2年前に退職。精神的に落ち着くまで1年かかったそうである。
 しかし今でも上司の威圧的な態度と仕事の分量が多くなると、小刻みに体が震える症状がでてきて、正社員で働くことを断念。そこで1年間派遣の職種を選択し働くが、ついに12月いっぱいで業務縮小に伴い契約終了が告げられた。悪いことにここ1年で急激に派遣の労働市場が冷え込んできたらしく、仕事の募集が激減。日々ハローワーク通いと派遣会社の登録会に行って求職活動している。しかし求職活動はうまくいかず、 エントリー→顔合わせ→NG。 エントリー→NG。ハローワーク→年齢制限(してはいけないことになっているけど、現実は有り)の連続で仕事が決まらずすっかり落ち込んでいるということ。

・・・参った。ショックだった。教え子がこんなに社会で苦労しているとは。
同級生たちはまさに世間で言うミドルエイジクライシス。どうにか打破できないのかなぁ~と、ミニ同窓会はいつしか彼の激励会に変わり、A君もみんなに励まされて少しは元気になったのだけれど結局彼の苦しみや苦労は他人が代わることはできないということになりその日はなんとなく暗い気持ちで帰宅した。

改めてここ何年かの社会的な背景を考えてみると自分を含めて50代、60代は老後に備えて節約に懸命だ。一方、若い人たちは、非正規雇用が多くお金を使いたくても使うお金がない。
これじゃ、政府の言っている内需拡大なんて何年たっても実現するわけがないじゃないか。

その上、人口が減少し、
円高と高い法人税で、企業は外国に逃げてしまう。
これからの日本経済はどんどん右肩下がりにならざるを得ないわけだ。

受け入れたくないけど、それが現実なのか。厳しい社会で必死で闘っているA君。善意であろうとも重荷になる口出しはあえてしない。でも人生はまだまだ続く。辛いときはいつでも私のところに愚痴をこぼしにおいで。

※その後A君から来年1月4日から派遣の仕事が決まった連絡がありました。(^o^)

北川 誠(きたがわ まこと)

埼玉県朝霞市立朝霞第十小学校 教諭
「駄洒落」を立派な日本の文化・言葉の見立てと考え、子どもたちからは「先生 寒~い」と言われてもめげず連発してます。モットーは「花には水を人にはユーモアを」。

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