2010.11.12
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「山嵐コンプレックス」

埼玉県朝霞市立朝霞第十小学校 教諭 北川 誠

 「山嵐コンプレックス」(ヤマアラシのジレンマということもあるようですが…)という言葉があります。

 これはヤマアラシ同士。寒い夜に暖をとろうとして近づき過ぎるとお互いの針でお互いを傷つけ、かといって離れすぎるとお互いを暖めあうことはできないというジレンマを表した言葉です。相手にトゲが刺さるのが恐くて近づけないってまるで昨今の人間関係を垣間見るようです。それだけお互いに傷つけあわずに暖をとる距離をとることは非常に難しいという本質的なコミュニケーション論であるとも言えます。

 私も歳を重ね、教える子どもたちが増えるにつれ、このことを実感する機会も多くなってきました。
 例えば親子関係では言われてるとおり「褒めて育てる」これが基本であり間違っていないと考えます。しかし、子どもたちの現状を見ていると「叱らずに育てる」こととは異なるのではないかと感じることがあります。

 生きるための基本的なしつけを忘れた子育てでは、何かに追いつめられた状況でがまんのできない脆弱な人間を作ることになるのではないかと心配します。そしてそのことは今はみんな刺されることを怖がってお互い近づけないようなヤマアラシの関係のような気がします。

 私の理想とする親子関係は映画「男はつらいよ」で描かれている寅さんの世界観のようにちゃんと相手と向き合って喧嘩したり笑ったりできる関係。本当の心のふれあいってそんなものだと思いますがいかがでしょうか。

 何がその(親)子にとってベストなのか、それを見つけるために学校や家庭でベストを尽くす以外にはない。秋の日は釣瓶落とし、ふとそんな思いにふける秋の今日このごろでした。

※今回の写真はフラワーアレンジメントです。
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北川 誠(きたがわ まこと)

埼玉県朝霞市立朝霞第十小学校 教諭
「駄洒落」を立派な日本の文化・言葉の見立てと考え、子どもたちからは「先生 寒~い」と言われてもめげず連発してます。モットーは「花には水を人にはユーモアを」。

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