2010.10.22
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二宮金次郎

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 みなさんの学校や近所に「二宮金次郎」の像は、あるでしょうか。私の現在の勤務校には、校門の脇にあり、登下校する子ども達を見守っています(写真 上)。どの学校にもあるような気もしますが、歴任校を考えてみると、現任校を含めても2校しかないことに気が付きました。
 私は、「二宮金次郎」というと、小学生時代に伝記集の一巻として読み、貧しくても勉学に励み、農業研究家になったというような記憶が残っています。働きながらも勉強した勤勉な姿から、学校に銅像が建てられたのかと思っていました。しかし、私が通っていた小学校・中学校には、「二宮金次郎」の銅像はありませんでした。

 そこで、二宮金次郎と銅像との関連について、改めて調べてみることにしました。

 教育の場では、1900(明治33)年の検定教科書「修身教典」に二宮尊徳として登場したのが初めてのようです。そして、1904(明治37)年には最初の国定教科書「尋常小学修身書」で、孝行・勤勉・学問・自営という4つの徳目を代表する人物として描かれるようになりました。また、唱歌では1902(明治35)年の幼年唱歌に現れ、1911(明治44)年の尋常小学唱歌には「柴刈り縄ない草鞋をつくり、親の手を助け弟を世話し、兄弟仲良く孝行つくす、手本は二宮金次郎」(=1番、3番まである)と歌われたそうです。

 ところで、二宮金次郎(尊徳)の像が各地の小学校にあるのは、彼の生涯が勤勉、勤労の象徴として戦前の修身の国定教科書に取り上げられたことによるようです。
 実際に、二宮金次郎の銅像が全国の小学校に建てられたのは、1932~1933(昭和7・8)年頃からで、国家総動員体制に向かい、皇国意識と国威発揚が鼓舞された時代です。つまり、「教育勅語」の徳目と相まって、二宮金次郎の勤勉・倹約の部分だけに焦点を当て、それを国策として利用し、象徴化するために銅像建立が全国展開されたということです。
 1935~1940(昭和10~15)年頃が銅像建立のピークだったようですが、戦局悪化・軍需物資不足に伴い、1941(昭和16)年9月施行の「金属類回収令」に基づき、二宮金次郎の銅像も例外に洩れず鉄砲や大砲の弾等に化けたようです。その結果、銅像よりも石像などが多く存在するようになったということです。
 私が見たことのある二宮金次郎像は、石像です。

 二宮金次郎のことがわかったので、早速、道徳の授業に取り入れてみることにしました。「ひみつの場所」と題して、低学年の内容項目1(2)と4(2)で構成しました。
 およその流れは、次のようです。
 (1)像の建っている周辺を写真で提示し、誰もが知っている場所であることを確認する。
 (2)像をクローズアップし、誰かを問う(24人中5人しか知らなかった)。
 (3)像は「二宮金次郎」であることを知らせ、何をした人かを説明する。
 (4)同時に、像が建てられた経緯と様々な像を紹介する。
 (5)そうした「二宮金次郎」像に、毎日、見守られている自分は、何をすべきかを考えノートに書き、発表・交流する。(板書写真=中、自分の書いたことを読む=下)

 多くの子ども達は、一生懸命勉強するというようなことを書きましたが、より具体的に書くように指示しました。また、自分の仕事(掃除や係の仕事)をがんばる、友だちと仲よくする、お家でお手伝いをする、というようなことも書いていました。

 二宮金次郎は、勉学に励み、お金持ちになりましたが、世のため人のために、尽くすことを忘れなかったのです。
 現代を生きる子ども達にも、受け継いでほしいことと考えています。

 今、日本は、経済的にも国際的にも厳しい局面にあると言えます。しかし、日本人のよさの象徴の一つである二宮金次郎の「勤勉・倹約」と「思いやり・奉仕」等を受け継いでいけば、何ごとをも恐れることはないのではないかと思っています。
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大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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