2010.10.21
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

「自分のことだけでなく、人のことも考えて。今だけでなく、未来のことも考えて。」 ~ESDを実践しましょう~

横浜市立永田台小学校 校長 ESD横浜代表 住田 昌治

現在、地球上の生物の多様性をどう守っていくかを話し合う生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋市の国際会議場で行われています。 
 私たちをとりまく自然や社会は、科学技術の進歩や産業の発展、国際化、情報化、高齢化などによって、今、大きく変わってきています。それに伴って私たちの生活も、持続不可能性を増しながら変化しつつあると言われています。このような社会の大きな変化の中で、人間や地球上のあらゆる命がのびのびと生きていくためには、人や自然を大切にしながら、共に生きていこうとするやさしく広い心をもつことが求められます。
 1992年に開かれた「国連環境開発会議」以来、「持続可能な開発」は人類共通の目標とされてきました。これを実現するためには教育がきわめて重要であるとの認識から、2002年「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(ヨハネスブルグ・サミット)において日本政府は、「国連 持続可能な開発のための教育の10年」(ESDの10年)を提唱し、2005年から世界各地でが進められています。日本では、「持続発展教育」(ESD)として、ユネスコスクールと一体的にESDを推進しています。そして、新学習指導要領、教育振興計画の中にも明記されました。
 「持続可能な開発」をひとことで言えば、「将来の世代も現在と同じように、また、同世代の人が同じように、自然資源環境の恵みや豊かさを享受できるような社会づくり」と言えます。未来の社会をどういうものにしたいのか、そのためには、何をどのようにすればできるのか、みんなで考え、行動する、そのための教育がESDです。
 従来の環境教育が「人が自然とどうつきあうか」に重きをおいていたのに対し、ESDでは、「人と人とがどうつきあうか」、「いろいろな人たちが暮らす共同体の中で、どのように、どういうルールをつくって、どうやって守っていくのか」を考えていくことも同じくらい大切にします。したがって、ESDの対象は自然資源・環境にとどまらず、持続不可能性を作り出している様々な社会の課題を扱います。
 ESDの方法は、自分の目を通して社会に存在する価値や課題に気づき、問題のつながりや構造を理解し、その解決策をみんなで探っていきます。この「協働の学び」の過程こそがESDの真髄です。ESD とは、持続可能な未来のための人づくり。世界のことを知り、社会への無関心を変え、自然との共生、人権の尊重、多文化理解などの価値観や、問題解決力やコミュニケーション力を育みます。
 持続可能な学校構築には、まず、学校自体が、環境配慮型の持続的成長を目指す学校に転換していく必要があります。そうした学校の環境力向上のため、ゴミ、エネルギー、水、食料など切り口を決め、具体的なカリキュラムを開発していきます。
 途上国の貧困問題や気候変動・生物多様性などの環境問題と私たちの暮らしとのつながりを学ぶ入門講座等を実施することも必要です。
 今後学校を中心に、地域においては、環境問題や人のつながりを回復するために「ここはふるさと」の建設は有効な手段となると考えられます。「ここはふるさと」の裾野を一般の方々に広げると共に、実践する人材を育成するための啓蒙をし、それによって「ここはふるさと」建設が加速化することを願っています。

住田 昌治(すみだ まさはる)

横浜市立永田台小学校 校長 ESD横浜代表
学校の持続可能性を求めて、日々挑戦しています。これから日本版ESDスクールのデザインを描き、実現していきます。皆さん一緒に考えていきましょう。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop