2010.09.16
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いよいよ自然の中での子育ても3年目に突入

軽井沢SOBO 代表 今野 篤

我が家が都会から移住して、早2年が経とうとしている。家族にとっても仕事面でも、刺激に満ち溢れた2年だった。こんなに自然の中での暮らしが素晴らしいものだとは…。

今思えば、私が自然の中で暮らしたいと思ったのは、学生時代に自転車でアラスカを縦断したことがきっかけだった。1ヶ月かけて、アンカレッジから北極まで1,500km駆け抜けた。人ひとりもいなく果てもなく続く大地、天まで突き抜ける勢いの青い空、鋭利な刃物の如く心身に突き刺す北極の風、夜空でうねうね動くオーロラの前では、ただただ立ちすくむしかなかった。

ほんの少し前までは、いい大学を卒業して大企業に定年まで勤め、リタイヤ後は好きなことをして暮らす、このようなことが疑いもなく日本の社会で理想とされていて、誰も信じて疑わなかった。だから皆、一企業の歯車となり必死に働いてきた。しかし、アラスカでの体験は、このような私の概念を木っ端微塵に砕いてしまった。

将来、絶対に自然の中で暮らそう。そのリミットは10年。愚直に行動すれば、人間やろうと思えばできるものである。しかし正直に言えば、自然の中で暮らすことと引き換えに、失うものもあった。それは仕事でもプライベート面でも。やはり大事にしていたものとの別れは寂しい。

どっかのエライ人の言葉だが、「失う。しかし、必ずそれは大きくなって返ってくる」と。私はこの言葉が好きだ。現に、今、私はかつてないほど大きなものを得ようとしている。それはかけがえのない仲間だったり、新しいビジョンに溢れた仕事だったり、家族との時間、とりわけ子供との遊ぶ時間だ。

昨日、日曜日は息子の誕生日だった。その日、私は出来る限り彼に私の時間をあげた。朝の散歩から始まって、ドライブ、キャッチボールと。その晩、彼に一番嬉しかったことを聞くと、ドライブでもプレゼントでもなく、牧場で食べたアイスクリームだった。多分、彼はこの味を忘れることがないだろう。


今、月曜日の朝で、ちょうどこの原稿を書いている。ふと庭を見ると今日も来ている。キジバトの親子が。日によってはリスがやって来たり、キツツキがコンコンと木を突っついている。思えば、我が家の住人も増えたこと。来年はどんな動物がやって来るのだろうか(笑)。ちなみにリスのリッピー(娘が付けた名前)は、娘が作った巣箱に、残念ながらまだ入った形跡はない。

この1年間、自然の中から子育て話を中心に発信してきた。我が家はこれからも森の中で暮らし続ける。また、いずれどこかでお会いし、成長した彼らの様子をお伝えできばと思う。
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今野 篤(こんの あつし)

軽井沢SOBO 代表
学生時代、自転車でアラスカ1,500kmを縦断。2008年、住み慣れた千葉から、大自然で子どもを育てるべく長野の軽井沢に移住。毎日がアウトドア、四人の子どもを持つ。

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