2010.08.25
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私学助成の意義を再確認してほしい・・・

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長 安居 長敏

「私学も無償化」プロジェクト『夏の陣』のメイン・イベントとして、さる8月9日(月)滋賀県庁周辺大宣伝行動を行ないました。多くの皆様のご協力・ご参加を得て、嘉田滋賀県知事や県庁職員の皆様、県議会議長様や県会各会派の皆様に、しっかり「私学助成の大幅拡充で、私学も『実質無償化』を!」というアピールを行なうことができました。

この4月から、公立高校は「授業料無償化」が実現しました。これは憲法で保障された「教育の機会均等」という理念にもとづき、教育費の保護者負担軽減の第一歩として導入されたものです。しかし、私立高校に通っている生徒は、同じ公教育=「おおやけ」の教育を受けているのに、まだ無償化されておらず、重い保護者負担が残ってしまっています。

公立高校の「授業料無償化」にともない、私立高校生にも公立高校の授業料分に相当する約12万円の就学支援金が出されることになり、収入に応じて約24万円まで加算されることになりました。しかし、施設設備費・学習費・入学金も含めると、平均約46万円もの初年度納付金が生活保護世帯やそれに準ずる世帯でもかかってしまいます。県や国から就学支援金の「加算支給」を受ける私立高校生はわずか15%余りで、ほとんどの私立高校生は平均約58万円もの初年度納付金を納めないと私学で学ぶことができないという現状です。

私学も公立と同じ「公教育」を行なう教育機関です。医療の分野では、公立も私立も病院に支払う自己負担額は同じです。教育も、医療と同じ「公共性」・「公益性」をともなう事業ですので、本来、公立と私立の学校で保護者負担額に差があってはならないはずです。

私学に入ったことで、多くの生徒たちが、保護者に「大きな学費負担」をかけてしまうことで肩身の狭い思いをし、「自分が私学に入ったために、兄弟の進路の幅を狭めてしまった」ことに対して罪悪感を覚える高校生もいます。また、好きな部活もあきらめ、アルバイトをしても学費が払えず、学校を中退してしまう高校生もいます。

滋賀県では3年前、私学の生徒のために使う経常費助成の予算を高校生一人当たり1万8千円も削られ、さらに今年度から、国の就学支援金が私立高校生に支給されることをよいことに、滋賀県はこれまで独自に授業料直接助成として出していた私立高校生のための予算を、一人当たり約12万円も生活保護やそれに準ずる経済的に苦しい世帯で減らし、総額3千6百万円余りの私立高校生のための予算を「もったいない」と他に回してしまいました。

もうこれ以上、私学に学ぶ生徒のための予算を減らしてほしくありません。今、「経済的な困難」を抱え、苦しんでいる私学の生徒を救っていただけることを強く希望します。
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安居 長敏(やすい ながとし)

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。

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