2010.08.09
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制服それとも私服?

横浜市立中田中学校 英語科 教諭   石山 等

 以前、私がまだ茅ヶ崎市の中学校に勤務していた頃、2年生のキャンプでジャージを使うかそれとも私服にするか、議論になったことがありました。ジャージにすれば、当時きちんとした服装にすることを拒んでいた数名の生徒には特別な指導が必要になるし、私服にすれば、一般の生徒がどういう反応を示すか予想がつかない。いろいろ話し合った結果、結論としては全員を文句なく引率できる「私服」に決定しました。そして、蓋を開けてみると、私たちが心配したような派手な服装はなく、汚れそうな仕事をするときには自主的にジャージを着用する生徒が多かったのを覚えています。

 さて、話は修学旅行の服装に移ります。皆さんの地域は「制服派」でしょうか、それとも「私服派」でしょうか。私が勤務していた茅ヶ崎市は「制服派」で、現在勤務している横浜市は「私服派」です。どちらがいいかは何とも結論をつけがたいところですが、私服で修学旅行をしている横浜市の利点は、恐らく異装(制服の変形版)の指導で生徒ともめることがないということが一番大きいでしょう。制服指導は大変エネルギーのいるもので、そちらに多大なエネルギーを費やすことは、修学旅行の本来の業務を遂行するのに大きなマイナスになります。また、たくさんの汗をかく時期の旅行では、同じ制服を3日間着る必要がないという生徒側の利点もあります。更に、私服にすれば生徒の個性も色濃く表れ、その子の一面を垣間見ることもできるでしょう。ただ、「私服」に誘われて、必要のない装飾品を身に付けてくる生徒もいるので、どこまでが自由裁量なのかという一線はきちんと引いておかなければなりません。
 それでは「制服」にする利点は何かあるでしょうか。統一感が保たれるということでしょうか。私服にした場合の混乱を恐れているのだとしたら、それは横浜市の例でもわかるように、取り越し苦労です。余計な私服でかばんがふくれずに済むという利点はあるかも知れませんね。

 昔、湘南地区のある中学校で、制服を撤廃するという大胆な試みに挑戦した学校がありました。服装が華美に渡らないように、生徒会が生徒に呼びかけたそうですが、その学校の一父兄に聞いたところでは、毎日服装を気にするのは面倒だから、適当な私服で済ませているとのことでした。面白いことに、最初は私服化を望んでいた保護者の方が、しばらくは朝の服選びに閉口して、制服に戻して欲しいと愚痴をこぼしたという話も聞きました。

 現在では、恐らく多くの学校が、授業をジャージで受けることを許可しているのではないでしょうか。部活動の朝練があれば朝の登校もジャージ。放課後の部活動があれば帰りもジャージ。結局、制服を着る機会はかなり限られてしまいます。「いったい何のための制服なのか…」と疑問をこぼす保護者も少なくありません。現在は、制服の着用は始業式・終業式・離任式・着任式等々の儀礼的行事のときに限られています。昔、授業もきちんと制服で受けるように指導したことがありましたが、途中で体育の授業が入ると、生徒にとっては実に面倒な事態となりました。汗をかいて、その上に制服を着るというのは、シャワーの施設もエアコンも完備されていない日本の学校にとっては、かなり無理のあることでしょう。

 制服は普通の洋服に比べて実に高価です。もし、儀礼的行事のときだけの服装になるのだとしたら、もっと安価な制服が入手できるように、どこかの組織が配慮しなければなりません。もしそれが無理なら、私服化を考えてもいいのではないでしょうか。小学校時代はずっと私服で過ごしているのですから、中学が私服でも違和感はないでしょう。高校も私服化すれば、無駄な出費は省かれます。ただし、現代っ子独特の腰パンのような着こなしは、どこかで指導しなければいけなくなるでしょうね。制服にするにせよ、私服を採用するにせよ、やはり指導は必要になるのでしょう。

石山 等(いしやま ひとし)

横浜市立中田中学校 英語科 教諭
52歳。4年半のブランクを経て、教育界に復帰しました。最初に担任したのが3年生の素晴らしい子どもたちで、昔の元気一杯だった自分を思い出させてくれて、心から感謝しています。

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