2010.07.13
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

ホタル教室

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 私は環境カウンセラーとして、今年もまた、6月に「ホタル教室」を行いました。今回は初めて、富山県富山市星井町児童文化センターを会場に、同センター主催で実施しました(写真 上)。

 「ホタル」という名前と、どんなものかを知らない人は、おそらくいないと思います。「ホタルって何?」と聞けば、子どもも大人も「光る虫」と答えることでしょう。しかし、ホタルの本当の姿やホタルと人間の関わりについては、ほとんど知らないのが実態です。
 ですから、ホタルを見に行った時に、ホタルに向かって強力ライトを照らしたり、ホタルが発生している近くで投光器で真昼のように明るくした会場で、ホタル祭りを行ったりしているのをよく見かけます。
 ホタルを見たい、ホタルで町おこしをしたいというのは、よくわかります。自然を親しみ、活用することは、よいことだと思います。ただ、ホタルという生き物を理解した上で、つまり「共存」することを第一に考えなければいけないと思っています。

 そこで、私は10年以上も前から、各地で「ホタル教室」を行うようになりました。そこでは、まず、ホタルが観察できる川や保護地の近くの公民館等を会場に、ホタルの生態やホタルの環境に関する意義などを参加者に学んでもらいます。つまり、知っているようで知らないだろうと思われる基本的な知識を学習するのです。もちろん、講義方式では参加者が飽きてしまいますから、クイズ形式にして、大人から子どもまで楽しめるようにしています。
 1時間ほどの学習を終え、薄暗くなってきた頃、ホタルの発生地に向かい、ホタルを取り巻く環境を観察しながら、ホタルが光り出すのを待ちます。参加者の期待が徐々に高まってくるこの時間は、格別です。
 そして、まもなく学習したことが生かせるようになるのです。そっとホタルを手にとって、光の様子やあたたかさを感じない光を実感したり、オスとメスの違いを確認したりと、ホタルに愛着を持って接している姿は、人間の本当の優しささえ感じることができます。
 ホタルの光のゆらぎは、人間の脳波にα波を発生させ、気持ちを和ませてくれると言われています。「ホタル教室」は、そのα波を増幅させる働きになってくれればいいと思っています。

 さて、富山での「ホタル教室」は、児童文化センター主催ということもあり、土曜の午後の開催となりました。会場も市街地ということで、残念ながら、近くにホタルの発生地はありませんので、ホタルのクイズが中心になりました。
 それでも、ホタルや昆虫に興味のある子ばかりが集まったようで、クイズの途中で質問がたくさん出ました。クイズの問題に答えるだけでなく、疑問を持って、さらに追究しようという子どもがたくさんいて、これまでで最高に盛り上がりました。45分予定が、1時間20分にもなってしまいました。それでも、幼稚園児も含めて、最後までよく話が聞けました。
 私は、この富山の子ども達に、心のたくましさを感じると同時に、「育てる子ども像」を再認識することができました。それは、初めて会った人に対して敬意を持って接する姿勢と、疑問を持ち解決しようとする姿勢です。

 富山の「ホタル教室」は、ホタルのクイズの後、ホタルのペーパークラフトづくり(写真 下)をして終わりになりました。子ども達は満足げな顔をして帰っていきましたが、子ども達以上に私も満足して富山を後にしました。
100713a.jpg100713b.jpg

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

同じテーマの執筆者
  • 安居 長敏

    滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長

  • 樋口 万太郎

    京都教育大学付属桃山小学校

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop