2010.06.01
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家庭訪問

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 家庭訪問では、どのようなことを話すでしょうか。
 子どもに関する情報交換をして、親と教師が共通理解をするのが主目的だと考えていました。また、教師にとっては、子どもの生活環境を知るということも有意義だと思っていました。
 ところが、最近は、子ども達の現状を考えると、情報交換や家庭環境を知る家庭訪問でよいのか、もっと子ども達のためになる家庭訪問の在り方はないのかと考えるようになってきました。そこで、今年は次のような家庭訪問を行いました。

 事前に、「子どものよいところを3つ教えてください。」と、学級通信を通じて家庭にお願いしました。こうしたお願いは、家庭訪問時の話のネタとしてされることはよくあります。私の場合は、ちょっと違う意味(ねらい)でお願いしました。

 一つ目は、保護者に我が子のよさを「再認識」してもらうことにあります。普段の家庭生活の中では、どうしても子どもを叱ってしまうことが多くなってしまうと思います。そこで、改めて保護者に自分の子どものよさを認識してもらうようにしました。保護者に「子どものよいところ探し」をお願いしたところ、夫婦の話題として何日も考えている家庭もありました。子どものよいところを探すために、夫婦で何日も話し合ってもらうことも、実はねらっているわけです。日常生活の中では、子どもの問題点にばかり目がいってしまいますが、よい点に目を向けて話し合うわけです。「3つ」探すのは、苦痛の家庭もあるようですが、それは心地よい苦痛ではなかったかと思っています。こうして考えることで、保護者自身、我が子のよさを深く認識することになり、「こんなよさがあったんだ。」「そうだったよね。」と、再確認してもらい、今後は子どもをよい面からも見てもらいたいと考えたわけです。
 
 二つ目は、子どもの自己肯定感や自己存在感・自己有用感の「核」を形成することにあります。小学校も高学年になると、自分のよいところが見つけられない子がいます。「自分にはいいところなんてない。」「自分はダメな人間だ。」と、考える子までいます。それは、その子自身が悪いわけではなく、学校や家庭での対応に問題があると考えました。つまり、学校や家庭で「早くしなさい。」「ぐずぐずするな。」「そんなこともできないのか。」といったことばかり言われていれば、「自分にはいいところなんてない。」「自分はダメな人間だ。」と考える子になるのは、当たり前だということです。
 そこで、1年に1度の家庭訪問の機会に、子どものよいところを再認識し、そのよい点が見えたら、具体的にほめるようにお願いしました。
 たとえば、「優しい」というよいところを持っているならば、下の子の面倒を見てくれている時(具体的行為)に、「優しいのだから当たり前」(当然)と考えるのではなく、「面倒見てくれて、ありがとう。」「面倒を見てくれるので、お母さんは助かるわ。」と言葉に出して、その優しさをほめてくださいとお願いしたのです。つまり、よい行為やよい習慣が具体的行為として表れた時は、必ず、言葉に出してほめる(評価する)ということです。
 こうすることで、子ども本人は、何気なくやっている行動かもしれませんが、周りの大人が具体的にほめることで、子ども自身が「自分のよさを認識する」ようになると考えたのです。この「よさの認識」が、前述の自己肯定感や自己存在感・自己有用感といった『自尊感情の核』を形成すると考えたのです。

 心を育てるためには、この『自尊感情の核』を形成し、それを育てていかなければなりません。小学校では、1年生に入学した時から、教師が家庭に働きかける必要があると考えています。

 今年の家庭訪問では、家庭にこのことを伝えるとともに、学習習慣として家庭学習の大切さも話してきました。これから、ますます厳しくなる社会の中で、自分(自己肯定感・自己存在感・自己有用感)を持って、夢や希望に向けて努力できる子どもに育つように、大人が子どもを育てることに本気になっていきましょうと話を締めくくりました。

 全家庭でこのような話をしていましたから、ほとんど予定時間(15分程度)をオーバーしてしまいました。これが、今後の課題となりました。

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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