2010.05.04
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『音読』で学習の基礎固め

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 私は、「音読が学校教育の基盤だ」と考えています。ここ5年ほど、音読を授業の核として、何でも音読するようにしています。
 そうしていたところ、新学習指導要領でも『音読』が明記されたことで重視の方向が示されたと言え、これまで自分がやってきたことに間違えがないことを確信しました。
 そこで、改めて学習指導要領に示される『音読』について、再確認と再認識してみました。

 今年度までとなった現行学習指導要領の第1学年及び第2学年では、音読については「C読むこと」の中の最下位に、「エ 語や文としてのまとまりや内容、響きなどについて考えながら声に出して読むこと」と記されています。
 新学習指導要領では、その「C読むこと」の中の最上位に、「ア 語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること」と記され、『音読』が内容の指導事項内に明記されました。「声に出して読む」から「音読する」と表現が変更され、しかも低学年の「読むこと」の最上位に上げられたのです。それは、どういうことなのでしょうか。
 単純に考えると、これまでの意味のまとまりで区切って読んだり、大きな声で正しく読んだりするだけではだめだということでしょう。『「読む」から「音読」』にしなければいけないということでしょう。
 そして、その『音読』は、新学習指導要領解説に記されているように、「自分が理解しているかどうかを確かめたり深めたりする働きと、他の児童が理解するのを助ける働き」を反映させることが求められているのです。

 私は、これまで『音読』を次のようにとらえ、実践しています。
 『音読』は、挿絵を見なくても、また、文字や文章を読まなくても、聞き手が状況設定や登場人物の心情の変化を感じ取ることができる読み方ととらえてきました。ですから、読み手は作者の意図をも読み取った上で、音声言語で表現するようにしてきました。また、身体表現も伴い、読み手自身も同化・異化しながら、表現活動を楽しむようにしています(写真)。
 私は、こうした音読の方法を『イメ音』(イメージ音読)と読んでいます。ただ、注意すべきは、読み手が文章からあるイメージを勝手に持ち、広げすぎた音読はしてはいけないということです。叙述に即し読み取り、作者の意図や主題を明確にとらえた上で、聞き手に音声言語で伝えることが大切なのです。つまり、聞き手に音声だけで、作者の作り上げた物語のイメージを持たせるのが、『イメ音』なのです。
 『イメ音』は同時に、子ども達の表現力やコミュニケーション力を鍛えることができます。それも、苦しくではなく、楽しく身に付けることができるのです。
 さらに言うと、自他のよさを感じ、感じ取ることもでき、お互いのよさを感じる場にもなり、学級づくりにもつながっていきます。
 これが、私の考える授業づくりと学級づくりを一体化させた『まるごと教育』の原点なのです。

 今年度は、2年生の担任として、『イメ音』を実践しています。この学年の子ども達は、1年生の時に声を出して読むこともあまりやっていませんでした。『音読』をまったく知らず、せいぜい「つかえないで、語のまとまりで声に出して読む」程度で育っていました。中には、1年間、ほとんど声を出さなかった子もいます。
 どの子にも『イメ音』を身に付けさせ、音声言語による表現はもちろん、読解力(テスト)を身に付け、音読を通してお互いのコミュニケーション力が高められるような『夢のイメ音』までできたらよいと思っています。

 この『イメ音』を中心に、小学校教育のターニングポイントと考える2年生で、学習の基礎固めをしたいと考えています。
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大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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