「最近の子供たちはどうですか」という質問に答えるのは、非常に難しいことだと私には思えます。私の場合は中学生が対象になるのですが、20年ほど前の中学生と比べて、今の中学生が具体的にどう変わったかを説明するのはそれほど単純なことではありません。確かに昔と比べて「集中力が落ちた」とか「感情表現が下手になった」などと言えなくもないのですが、こんなびっくり事件も起きるのです。
それは昨年の体育大会のときの出来事でした。私が担任していた3年生のクラスは特にまとまった集団ではなかったのですが、体育大会当日はあらゆる種目に全力を投じて学年総合優勝に輝きました。担任の私が、「へえ、そんなパワーがうちのクラスにはあるんだなあ」と感心していると、子供たちがいきなり私の周りに集まってきて、一人の男子生徒のかけ声を合図に、女子生徒も混じって、何と担任の胴上げが始まったのです。いきなりの出来事に私はびっくりしてしまいました。こんな嬉しい経験をするのはもちろん教師になって初めてでしたし、自分は別に担任として何も特別なことはしていないのにどうしてなのかという戸惑いもありました。「最近の子供たちはしらけている」と評する人もいる中で、いきなりこういう表情を見せられると、今の子供たちに何が起きているのか分からなくなってしまいます。
その学年の子供たちは、5クラス全てが、文化発表会のクラス合唱の演奏の前に、ステージ上から担任に向けて大きな声でメッセージを発しました。これは異例のことだそうです。実際、順位をつける合唱コンクールの場であったなら、大きなマナー違反だったでしょう。今年卒業していった子供たちが特別な存在だったのでしょうか。それとも、今の子供たちは、昔の子供たちとは違った大胆な感情表現ができるようになったということなのでしょうか。子供たちの間にはまたカラオケブームが到来しているようですが、人前で歌うという行為が、彼らの感情表現に何らかの影響をもたらしているのでしょうか。いずれにしても、現代っ子の特性を「最近の子供たちは」という言い方で簡単に断言してしまうのはちょっと難しそうです。
新学期が始まり、早速授業が始まりました。ほとんどのクラスが、まだ積極的な反応を示しません。中には、静まりかえって全く声が出ないクラスもあります。「あれ、どうしちゃったの?」劇的なサプライズを演じて卒業していった先輩たちのあの溌剌とした姿が脳裏をよぎります。「やはり、あの子たちは突然変異だったのだろうか…」いやいやそんなに簡単に結論を出してはいけませんね。子供たちは日々大きな変化を遂げるものですからね。それが証拠に、集団としてはまだまだ素顔を見せてくれない彼らも、休み時間などに個人的に話をすると、授業中にはまったく見せなかった別の表情を披露してくれます。
やはり子供たちにはいくつもの「顔」があるようです。時間をかけて付き合えば、違った顔を見せてくれるようになる。一つの顔を見ただけで、現代っ子の特性を断言するようなことはしてはいけないのでしょう。
それは昨年の体育大会のときの出来事でした。私が担任していた3年生のクラスは特にまとまった集団ではなかったのですが、体育大会当日はあらゆる種目に全力を投じて学年総合優勝に輝きました。担任の私が、「へえ、そんなパワーがうちのクラスにはあるんだなあ」と感心していると、子供たちがいきなり私の周りに集まってきて、一人の男子生徒のかけ声を合図に、女子生徒も混じって、何と担任の胴上げが始まったのです。いきなりの出来事に私はびっくりしてしまいました。こんな嬉しい経験をするのはもちろん教師になって初めてでしたし、自分は別に担任として何も特別なことはしていないのにどうしてなのかという戸惑いもありました。「最近の子供たちはしらけている」と評する人もいる中で、いきなりこういう表情を見せられると、今の子供たちに何が起きているのか分からなくなってしまいます。
その学年の子供たちは、5クラス全てが、文化発表会のクラス合唱の演奏の前に、ステージ上から担任に向けて大きな声でメッセージを発しました。これは異例のことだそうです。実際、順位をつける合唱コンクールの場であったなら、大きなマナー違反だったでしょう。今年卒業していった子供たちが特別な存在だったのでしょうか。それとも、今の子供たちは、昔の子供たちとは違った大胆な感情表現ができるようになったということなのでしょうか。子供たちの間にはまたカラオケブームが到来しているようですが、人前で歌うという行為が、彼らの感情表現に何らかの影響をもたらしているのでしょうか。いずれにしても、現代っ子の特性を「最近の子供たちは」という言い方で簡単に断言してしまうのはちょっと難しそうです。
新学期が始まり、早速授業が始まりました。ほとんどのクラスが、まだ積極的な反応を示しません。中には、静まりかえって全く声が出ないクラスもあります。「あれ、どうしちゃったの?」劇的なサプライズを演じて卒業していった先輩たちのあの溌剌とした姿が脳裏をよぎります。「やはり、あの子たちは突然変異だったのだろうか…」いやいやそんなに簡単に結論を出してはいけませんね。子供たちは日々大きな変化を遂げるものですからね。それが証拠に、集団としてはまだまだ素顔を見せてくれない彼らも、休み時間などに個人的に話をすると、授業中にはまったく見せなかった別の表情を披露してくれます。
やはり子供たちにはいくつもの「顔」があるようです。時間をかけて付き合えば、違った顔を見せてくれるようになる。一つの顔を見ただけで、現代っ子の特性を断言するようなことはしてはいけないのでしょう。
石山 等(いしやま ひとし)
横浜市立中田中学校 英語科 教諭
52歳。4年半のブランクを経て、教育界に復帰しました。最初に担任したのが3年生の素晴らしい子どもたちで、昔の元気一杯だった自分を思い出させてくれて、心から感謝しています。
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