2010.04.20
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学びの基礎基本

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 新学期が始まり、学級・学校が動き出しました。担任や校務分掌が決まった瞬間から、学級開きの準備や組織として学校を動かすための書類づくりを始め、ようやく少し見通しがついた時期ではないでしょうか。

 ところで、その新学期に担任として、一番始めに取り組むことは何でしょうか。もちろん、学級がスムーズに活動できるように、子ども達の名札を作ったり、掃除や給食などの当番表ややり方を書いたりすると思います。そして、授業の準備として、教材研究をすることと思います。
 私もずっとそうして、新年度から突っ走ってきました。結果として、学期末や年度末にはゆとりができて、子ども達と楽しい時間を過ごすことができました。
 しかし、最近、このやり方では子どもの力を十分伸ばしきれないことに気が付きました。そこで、新学期はどの学年を担任しても、「学びの基礎基本」を確認・再学習しています。

 この「学びの基礎基本」というのは、「声の出し方・表現」のことです。
 学力の基礎は、「読み・書き・計算」と言われますが、その第一は「読み」であり、「読み」の第一歩は「声を出すこと」です。人は生まれた瞬間から声を出し、耳から言葉を覚え発するようになります。当たり前にできてしまっているので、「しゃべれればいい」という感覚になってしまいます。
 小学校教育でも「話し方」や「読解の読む」、「書く」に重点が置かれ、声の出し方については、ほとんど指導しません。ですから、子ども達の「声が小さい」のではなく、「声の出し方を教えていない」から、「声が出せない」と考えた方がよいと考えています。

 私は、今年度、2年生を担任しています。低学年ですから、全員でのあいさつや返事は大きな声でできます。でも、個々には、あまり声が出ません。
 また、教科書の音読をさせて、子ども達の様子を観察してみると、滑舌が悪いのです。そこで、改めて「あ・い・う・え・お」の母音の発音の練習をしました。ただ、口の形や舌の位置などを細かく指導すると、意欲を削ぐことになってしまいますから、教師が手本を見せ、楽しく元気に発音します。
 「あ」は両手を広げながら、「い」は唇を横に引っ張るつもりで、「う」は唇と指を突き出す感じで、「え」は口と手を三角にするようにして、「お」はあごを下に引っ張るような動作をしながら発音します。教師は、特に、大げさに、変な顔をしながらやると効果的です。母音の発音練習をした後は、あらいたけこさんの『あいうえお』を音読・暗唱して楽しんでいます(写真)。
 もちろん、母音の発音練習は、1回や2回では定着しません。しかし、この練習を通して、声を出すことは楽しい、みんなでやればできる感を持たせることはできます。これが、自己肯定感と連帯感のベースとなります。
 また、教師と子どもをつなぐ一本目の太い縦糸を張ることになり、指導の過程で子どもどおしの横糸も張ることができます。
 そして、「学びの基礎基本」の確認・再学習は、学級づくりと授業づくりの一体化(『まるごと教育』)の第一歩でもあるのです。

 この「学びの基礎基本」は繰り返しつつ、教科書学習や学校生活と複雑に絡みながら、スパイラルに変化・発展させ、子ども個人と子ども集団を伸ばしていきたいと思っています。
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大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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