2010.04.05
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学校だけの価値観

横浜市立中田中学校 英語科 教諭   石山 等

 私は教員生活22年を過ぎた時点で一度学校を退職し、5年近く民間に出ていた経験があるので、外から見た学校のイメージがある程度分かるようになりました。やはり立場が違えば価値観も違うもので、教師側の持つ価値観と、地域の持つ価値観は違います。学校のやることで、「どうして?」と疑問に思わざるを得ないことが、いくつも出てくるのです。子供たちの見せる顔も、学校の中にいるときと地域に戻ってきたときとで違いますから、先生たちはそのことを十分に理解しておかないといけません。

 昨年の春に、再度教員に復帰してみると、その地域との価値観の違いが更にはっきりしました。これは、決して学校を批判するつもりではないのですが、現場にいるとどうしても地域との間の壁を越えられないことがあるのです。だからこそ、教師から見ての「いい子」「悪い子」というレッテルは簡単に貼るべきではありません。学校の中で見せる子供たちの顔は、地域で見せる顔とはまた違うものだという現実をよくわきまえて、子供たちの実体を知る努力を怠ってはいけないと思います。

 これは私が現在勤務している学校の話ではなく、私が住んでいる地元の学校の話なのですが、ある学年の特定の子供たちが悪さばかりを働き、どうしても教師の言うことを聞かないというのです。そこで学校側は、彼らを学校から排除する方針(これも地域から見た見方なのかも知れませんが)を固めました。何か悪さをする度に、親が学校に呼ばれ、家まで連れ帰るという一連の流れが何度も繰り返されます。子供たちが学校で悪いことをして迷惑をかけているのは重々承知している親たちは、何度も職場に連絡が入ることに対しても文句は言えませんが、「もう少し学校で何らかの対処をしてくれないものか」と徐々に不満を募らせます。端から見ていても、その気持ちはよくわかる。なぜなら、子供たちは地域の中では学校の先生たちに対するのとまた違う顔を見せるからです。

 学校と地域が対峙するのは決して生産的ではありませんね。一番いいのは、学校と地域がよく話し合って、子供たちの見せる顔の原因をよく探ることでしょう。我々教員は、学校では見せない子供たちの様子を知って驚くでしょうし、またほっとすることもあるかも知れません。また、地域の人たちも子供たちの学校での様子を更によく知ることで、一方的に学校を批判することもなくなるでしょう。そのためにも、PTAの存在は大きいですね。今現在でも、PTAという組織ではなく、「保護者会」という結束力の弱い組織を置いている学校もあります。その理由はよく分かりませんが、PTAを充実させることで「学校だけの価値観」が全てを支配する悲劇だけは食い止めることができるかも知れません。

「あの子はなぜ学校でこういう顔を見せるのだろう」そんな風に我々教師が余裕を持って子供たちを見ることができるようになると、教育現場は大きく変わっていくのではないでしょうか。最後は自省の意味も込めて書きました。

石山 等(いしやま ひとし)

横浜市立中田中学校 英語科 教諭
52歳。4年半のブランクを経て、教育界に復帰しました。最初に担任したのが3年生の素晴らしい子どもたちで、昔の元気一杯だった自分を思い出させてくれて、心から感謝しています。

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