2010.04.06
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夢を語ろう

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 新年度が始まりました。本年度も引き続き「教育つれづれ日誌」を書くことになりました。どうぞよろしくお願いします。
 
 新年度の学校は、1年のうちでもっともワクワクする時です。大きな出会いがたくさんあるからです。友達との出会い、担任や担当の教師との出会い、新しい学習法やシステムとの出会いなど、毎日が期待とうれしさに満ちあふれているのではないでしょうか。

 一方、仲良しの友達と別れてしまった、様々な出会いが自分の希望や思いどおりにならなくて、新年度早々に落ち込んでしまう子どもがいるのも事実ではないでしょうか。

 私たち教師(大人)も同じではないかと思います。希望通りの学年や分掌にならずに、年度始めから意気消沈している教師もいます。そこまでいかなくても、様々な理由で教育的に困難な学校や学年があり、その担任になった場合には、厳しい1年間が予想されます。それでも、教師はそれぞれのミッション達成のために、研究と修養に努めていくわけです。
 ただ、現実は本当に厳しいものがあり、教師の精神疾患による病休者数は年々増加し、ここ10年で2倍にもなっています。行政として、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーを配置したり、生徒指導等専任教諭を置いたりする取り組みをしているところもあります。しかし、まだ一部であるとともに対処療法であるために、問題の根本解決にはなりません。もちろん、現在の複雑な問題を考えると、決定的な解決策というものは、ないと言ってよいでしょう。
では、教師自身が希望を持ち、新年度をスタートするには、どうしていったらよいのでしょうか。

 私が考えている一つの方策を紹介します。
 それは、「教師自身が夢を持ち、語る。」ことです。「なんだ、そんなこと?」と思われるかもしれません。しかし、私たち教師が、実際に夢と言えるようなものを持ち、語っている姿を見ることはほとんどありません。
 一方、教師は子ども達に対して、「夢を持とう。」「将来は何になりたいかな。」ということをよく聞き、その大切さをもっともらしく語っています。そして、「先生も子どもの頃は、○○という夢を持っていて、□□だったんだ。だから、みんなも夢や希望を持とう。」などと締めくくることが多いようです。私もずっとそのようなことを言ってきました。
 しかし、これでは、今の子ども達にとっては『他人事』なのだということに最近気づきました。今を生きる子ども達に、「今」を語ることが大切であり、そうすることが『自分事』にすることができるのだということです。つまり、「今、夢を持っていない教師が、子ども達に夢を持てと言うことは虚構だ。」ということです。

 回りくどくなりましたが、結局「教師自身が夢を持とう。」ということなのです。現実の厳しさの中で無理だと言われるかもしれません。でも、教師としての仕事のことでなくても、趣味や特技のことでもよいのです。「こんな教師になりたい」「こんなことができるようになりたい」「いつかは、あそこへ行ってみたい」などなど。

 教師が、教師のエリアを越えて、「人として夢を持ち、夢を語る」・・そんな場や機会が持てたら、どんな状況であっても自分を支えることができるのではないでしょうか。

 私にとって、その場の一つがこの「教育つれづれ日誌」です。そして、どこかで、ライブで語り合えるセミナーのようなこと(夢)ができたらよいと思っています。

 みなさん、自分自身の夢を持ち、語っていきましょう。そして、それが子ども達と共通の夢でもあったら最高ですね。
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大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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